お金はしっかりと、かつお得にためていきたいもの。自分ではしっかり調べ、お得にためていると思っている人でも、時に大きな落とし穴にはまることがあります。割引や割り増しが付く社内制度や、目的別貯金。一見良いように思いますが、やり方次第では家計の負担を大きくする場合があります。(家計再生コンサルタント 横山光昭)
社内のお得な制度を活用しているが、老後資金がたまらない
お金はしっかりと、かつお得にためていきたいもの。誰でも収入には限りがありますから、お金の使い方だけではなく、ため方も柔軟に考え、効率よくしたいもの。ただ、環境や昔からの思い込みで、それがうまくいかない人たちもいます。
「老後資金がためられない」と相談に来たのは、中学3年生を筆頭に3人のお子さんがいる会社員のKさん(47)。パート勤めの妻(45)とお金についてよく話し合っているものの、毎月やりくりが厳しく、老後資金がためられないことに悩んでいるのだそうです。
ご夫婦合わせての手取りは月収約38万円。夫が約30万円、妻が約8万円です。夫の会社は社内預金など制度が比較的多くあります。せっかくだからと、その制度を調べて夫婦で話し合い、お得なものはしっかり使うようにしてきました。将来豊かに暮らすための準備として、制度を利用しておけばいいだろう、そう思っていたそうです。
そのため、毎月、生命保険料、持ち株会、社内預金などがあらかじめ給与から天引きされています。生命保険料は割引されていますし、持ち株は入れたお金の1割増しになります。社内預金は引き出しにくいけれど銀行より金利が高い。そのような理由で利用しています。