三浦瑠麗さんのきわめて印象的な言葉
その誤った認識は、個人の人生のみならず、社会や国の将来までも危うくするものです。
先日、ある有識者の討論会に出た際、国際政治学者の三浦瑠麗さんが、きわめて印象的な言葉を発しました。
ウクライナ問題に日本はどう関わっていくかを話し合い、「アメリカとしっかり連携しよう」というところに結論が落ち着いて、各人が最後の総括をする場面で、三浦さんはこう発言したのです。
「西側優勢の秩序が今後も変わらないと思っている方が多くて、驚きました」
三浦さんの指摘は、正鵠を射ています。おそらく10年後には、中国のGDPはアメリカを追い抜くでしょう。20年後には、軍事力でアメリカを上回るかもしれません。そのとき日本は、中国とどう付き合っていくのでしょうか。
中国が世界の覇権を握れば、ロシアの立場や国力も大きく変わります。西側諸国の一員として安穏と過ごしてきた日本はどうすればいいでしょう。
そこを誰も考えないのが、今の日本です。アメリカの庇護のもとに平和が保たれる社会が、いつまでも続くと思っているのです。
たしかに、その体制は戦後80年近く、崩れませんでした。歴史上もまれな、驚異的耐用年数ですが、90年、100年と続いていく保証はありません。
そのことを認識しているか否かで、今の行動が変わってきます。認識があれば、変化に備えてリスクヘッジをします。
原則的に、国家同士が争っているときは、民間でリスクヘッジするのが常套手段。国が戦争をしていても、民間では商品を売買してつながっておくのです。そうすればものは手に入りますし、万一戦争に負けたときも、民間のパイプがあれば丁重に扱ってもらえる可能性が高くなります。
ところが日本では、国がロシアを非難すれば、マスコミも同調してロシアの非道ぶりを強調し、民間も関係を断絶しようと動きだします。これではリスクヘッジがまったくできていません。戦略としてあまりにも拙いと思わざるを得ません。