パナソニックはなぜテスラになれなかった?精神科医・和田秀樹の答え写真はイメージです Photo:123RF

パナソニックは世界に先駆けてEV(電気自動車)を量産できる会社だったと思います。電池がつくれて、モーターもつくれるのですから、技術はそろっています。しかし現在、同社がしているのは、アメリカのEVメーカーであるテスラに電池を売ることです。それを喜んでいていいのでしょうか。「EVそのものをつくれたはずなのに」と悔しがるべきではないでしょうか。
※本稿は、和田秀樹『50歳からの「脳のトリセツ」』(PHPビジネス新書)の一部を抜粋・編集したものです

日本経済の停滞も「思い込み」が原因

 日本の国際競争力の低下が、長年問題となっています。もうこの言葉がすっかり耳に馴染んだという方も多いでしょう。

 しかしそんなことに慣れるのは、きわめて異常な事態です。ほかの先進国や新興国を見渡してみて、日本だけが数十年にわたって成長していないことに、なぜ誰も疑問を抱かないのでしょうか。

 成長しないどころか、今や円相場は1ドル150円近く(2022年10月20日現在)。急激に進んだ円安は、日本の価値がいよいよ急激に落ちてきたことの証です。

 ここに至った主な理由は、これまで述べた通り、新しいことへの挑戦を怠ってきたことです。

 円は1995年に、一時1ドル80円を切るまでに高くなりました。1ドル360円の時代が終わり、円高が進むなかで、日本企業は「円高でも売れるもの」をつくるべきでした。しかし、日本企業が実際にしたことは、中国や東南アジアなどに工場を移転するなど、徹底したコストカットによって安い製品をつくり続けることでした。