午後のワイドショー「ゴゴスマ」(TBS系)を、東海ローカルから全国の人気番組へと躍進させた立役者である同番組MCの石井亮次アナウンサー。威圧感ゼロなのに場の空気をしっかりつかみ、共演者からも視聴者からも信頼と好感度を寄せられるその神トーク術が、今、話題となっている。本連載では、「話し方の極意」を初めて明かした著書『ゴゴスマ石井のなぜか得する話し方』から、コミュ下手でもすぐに使える会話の心構えとテクニックをお伝えする。

好感度の高い人は「相手の言い間違い」をどうフォローする?Photo: Adobe Stock

思い込みによる間違いは、誰でもある

 相手は自信満々で話しているのに、漢字の読み間違いやことわざの意味をちょっと間違っていたりすることってよくありますよね。番組の司会の最中でも、時々あるのは、漢字の読み間違い。あとは、ことわざや四字熟語の意味をちょっと間違って使っていたり、完全に勘違いして関係のない話をひっぱってきたり、などです。

「本人が、気づいてくれへんかな」と祈る思いで見つめていても、一向にその様子がなくて、これ以上放っておくと視聴者が混乱する! という時には、なんとか軌道修正しなければなりません。

 そんな時に、僕がよくやるのは「訂正です」とは言わずに、自分が引き取った時にさりげなく直すというやり方です。

 たとえば、「間髪を入れずに実行」という文で、間髪(かんはつ)をうっかり間髪(かんぱつ)と読んでしまった人がいたら、その場で指摘はせずに、自分の番になった時に「間髪(かんはつ)を入れずに実行してほしいですね」と修正します。

 とはいえ、もっと重要な間違いだった場合はこのやり方では間に合いません。そんな時は、

「あれ? おっしゃりたいのは○○(正しい情報)ですよね」

 という感じでフォローを入れる。大切なのは、間違った人に絶対に恥をかかせないということ。「もしかして、言い間違いですよね?」という感じで軽く聞くのがおススメです。

間違いに付き合うことが大事な時もある

 テレビでたくさんの視聴者がいたり、あるいは普段の会話でも大勢が参加している場合は、間違った情報について、さりげなく修正を入れることが必要ですが、一対一の会話の場合だったら、正す必要がないことのほうが多いと思います。

「号泣(ごうきゅう)」を、なぜか「ごうお」と間違って覚えている人がいて、「あの映画、ほんまに“ごうお”したよ。あんなに“ごうお”したのは生涯で初めての経験だったよ」と、気持ちよく熱く語っている。

 これが、親しい友人や家族、後輩だったら「それ、“ごうきゅう”やで」って教えてあげて一緒に笑えばいいんだけど、立場が上の人だったらなかなかそうも言えません。そんな場合は、僕なら、間違いに付き合います。

「社長、あの映画、僕も“ごうお”しましたよー」

 べつに誰に迷惑をかけるわけじゃなし、その場のムードを優先させるほうが大事な時もあると思います。

 *本記事は、「ゴゴスマ石井の なぜか得する話し方」から抜粋・編集したものです。