「私がアラサーと言われるようになったのは、2005~7年頃。この頃は“大人かわいい”女性が大ブームで、仕事をしながら、家族にも献身する女性がメディアに登場していました」

 たしかに睡眠時間を削り、“主人(夫)”のために尽くす女性がもてはやされていた。当時、育児雑誌で「ワーキングマザーの1日」のような特集が組まれていたのを見たことがある。1日の睡眠時間が3~4時間で、ほとんど自分の時間がないタイムスケジュール。それがあたかも素敵なことのように書いてあり、ゾッとしたことを覚えている。

「そうなんです。『忙しくても化粧くらいしろよ』みたいなトーンの漫画やドラマもありましたしね。私はこの通り、シンプルでボーイッシュです。いざ婚活をしようとするなら、ピンクのワンピースや花柄のスカートをはかなくてはリングに上がれない。先延ばしをするうちに、30代半ばになりました」

 その頃は、不妊症がメディアで取り上げられていた。いつの頃からか「30代半ばでは自然妊娠は難しい」などと言われるようになっており、婚活市場から戦力外通知をされたような気持ちになったという。

 ところで、恋愛はしていなかったのだろうか。

「ワンナイトばかりでした。きちんと交際したことはないです。相手は行きつけのバーの常連とか、その店主とか。閉店後の店内でそういうことをしたこともありましたよ。みんな妻子がいましたけれどね。たぶん、お互いに性欲を処理したかったんだと思うんです」

 美紀子さんが38歳のときに、子宮筋腫の手術をした。それからは、性欲がぱったり止まってしまったという。

「病後の自分を大切にしたいと思ったんです。その後、20代の男の子と何回か関係を持ったのですが、その人が別の人と結婚してしまった。それから数年経過した今年、女優のマッチングアプリ報道があり、『これはやってみるのもアリなのか!?』と登録をしたんです」

恋もせずに死ぬのは嫌

 そこには、コロナ禍で「このまま恋もせずに死ぬのは嫌」という思いもあった。年齢といい、容姿といい、特に優れたものがない私に対して、ウソみたいに『いいね』が来るんです。通知が鳴りやまなくて、スマホの充電がみるみる減りました」

「いいね」とは、男性登録者からの「あなたに会いたい、興味がある」という証でもある。それが殺到しているということは、美紀子さんに女性としての魅力があることにほかならない。年齢を重ねており、容姿も人並みな女性になぜ、そこまで「いいね」が殺到するのか。それは、男性の登録人数が多いことにある。