マッチングアプリ運営会社は「インターネット異性紹介事業」の届け出が義務だ。ユーザーも登録時に公的身分証明書を運営会社に提出するなど、本人確認が徹底されている。なりすましや経歴詐称は基本的にないとされているが、撮影して送るだけの身分証明書は偽造できる。実際はいたちごっこではないかと言う。

「ウチのママと同じ年だ」

 しかし、一度知ってしまった、「いいね」の快楽と、肉体の快楽。美紀子さんはその後、様々な男性と会う約束を取り付ける。「最初は同世代で真剣に交際できる人を探していましたが、若い体に目覚めてしまった。自分で自分に『セクハラするオッサンかよ』とツッコミを入れつつ、20代のイケメンを中心に10人くらい会いました。すっぽかされたのは3回くらいかな。今の子って、みんな優しくてきれい。オラオラした子とか、マウンティングする子はいません。でも『ウチのママと同じ年だ』とは言われたことがありました」

 平日の夜、ムラムラすると、アプリを開いて会っていた。若い男性の肌と触れ合うことは、美容液以上の効果があったようで、肌つやがよくなったという。「もっとイケメン、もっと高学歴、もっとオシャレな子……みたいな感じで物色していました。それはやはり、彼女として付き合いたいという気持ちがあったからかもしれません。同僚や親からは『結婚しない変人』みたいに扱われていて、そんな私が一発逆転でいい男を捕まえて、結婚する。それに驚くみんなの顔を見たらスカッとするなと妄想していました」

出会いに潜む危険

 リアルな人間関係を伴う出会いとマッチングアプリでの出会いは大きく異なる。アプリではプロフィールだけを頼りに全く知らない人とコンタクトを取るのだ。

 ママ活男子のほかに、ネットワークビジネスや投資詐欺の餌食を探す温床になっているものもある。

「そういう人は多いです。ある程度、メッセージのやり取りで性格がわかるのですが、見破れなかったことはあります。あとは宗教やスピリチュアルセミナーなどもありました」

 ストーキング行為をされたこともある。

「自称医師の若いイケメンで、話が全くかみ合わなかった。私が話したことに対して、『それは正解』『わかってないな、不正解』などとジャッジだけをする。不快になって帰ろうとしたら、『なんで?』と言われて……。振り切るように帰ってきました」

 すると、後をつけられており、自宅を特定されたという。