「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。

【91歳の医師が明かす】人の名前が出てこなくなった…脳の衰えを感じるようになったら、絶対に意識すべきことイラスト:chichols

いくつになっても
オシャレに気を使う

中学生や高校生に、「服装の乱れは、心の乱れ」と教える先生がいますね。校則で定めた服装に従わせるために、そう指導しているのかもしれません。校則の善し悪しを脇に置くと、「服装の乱れは、心の乱れ」は、あながち見当外れとはいえません。

認知症のサインの1つにも、服装の乱れがあります。オシャレだった人が身だしなみに関心を払わなくなり、部屋着やパジャマのままで平気で外出したり、同じ服をずっと着続けたり、不潔でも頓着しなくなったりすると、認知症が疑われます。

部屋着やパジャマで外出するのは、服装というものに関心がなくなるからです。同じ服を着続けても平気なのは、何を着たらいいかという判断力が鈍り、服を選ぶという作業を面倒に感じるためです。

たかがオシャレ
されどオシャレ

認知症で脳の「右頭頂葉」というところがダメージを受けると、「着衣失行」という障害が出てきます。運動機能にはとくに障害が見あたらないのに、身体と衣服の空間的な把握ができなくなり、衣服の上下、表裏の判別ができなくて間違えたり、ボタンがかけられなくなったりするのです。

たかがオシャレ、されどオシャレ。オシャレに気を使うことは、脳を刺激して血液循環を活発にする作用が期待できます。とはいえ、ここでいうオシャレとは、高価なブランド品で全身を着飾るということではありません。TPO(時・場所・場合)に応じた装いを考えてほしいのです。そうして自分が着る服について考えることによって、脳を刺激する機会が増えるからです。

※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。(文・監修/松原英多)