「私はなぜこんなに生きづらいんだろう」「なぜあの人はあんなことを言うのだろう」。自分と他人の心について知りたいと思うことはないだろうか。そんな人におすすめなのが、『こころの葛藤はすべて私の味方だ。』だ。著者の精神科医のチョン・ドオン氏は精神科、神経科、睡眠医学の専門医として各種メディアで韓国の名医に選ばれている。本書は「心の勉強をしたい人が最初に読むべき本」「カウンセリングや癒しの効果がある」「ネガティブな自分まで受け入れられるようになる」などの感想が多数寄せられている。本書の原著である『フロイトの椅子』は韓国の人気女性アイドルグループ・少女時代のソヒョン氏も愛読しているベストセラー。ソヒョン氏は「難しすぎないので、いつもそばに置いて読みながら心をコントロールしています」と推薦の言葉を寄せている。あたかも実際に精神分析を受けているかのように、自分の本心を探り、心の傷を癒すヒントをくれる1冊。今回は日本版の刊行を記念して、本書から特別に一部抜粋・再構成して紹介する。
「批判されるかも」という不安を減らすには?
人前で堂々とスピーチできる社交的な人たちも、最初からそうだったわけではありません。
社会性とプレゼンテーション力を伸ばすために、見えないところでコツコツ努力を重ねてきたのです。
話すネタをメモ帳に入力して、ときどき練習することもあります。
歌の上手な人が練習を怠らないのと同じです。
恥ずかしさを減らして自信を育てるには、スポーツと同じように、習慣として身につくまで毎日練習を続けることが大切なのです。
就職の面接で失敗するかもしれない、と心配している人がたくさんいます。
面接官の前でもじもじして質問にきちんと答えられなかったら、不採用になるのは当然です。
ただ心配しているだけでは、恥ずかしさを克服することはできません。体系的な訓練が必要です。
機会を見つけては、少しずつ小さなプレゼンテーションをして、成功体験を積み重ねていきましょう。
そのうち、自信がついてきたと感じられるようになります。
思うようにいかないときは、飼っているペットの前でもかまいません。
繰り返し練習してみてください。
面接官の立場になって、自分に質問するシミュレーションも効果的です。
相手の立場に立つと、面接官も人間で、恐れる必要はまったくないことに気づくでしょう。
練習を繰り返すうちに、心の中の自己表象がポジティブなイメージにアップグレードされ、対象表象の批判的なイメージを減らすことができます。
緊張感はとても大切なもの
恥ずかしがり屋の人は、フィジカル面の変化についても知っておくべきです。
誰でもストレスを感じると、心臓の鼓動が高まります。
そんなときは、「私はストレスを感じているんだな」と当たり前のこととして受けとめれば、すぐに治まります。
恥ずかしがり屋の人は、心臓の鼓動を気にしすぎて失敗することがよくあります。
自分を応援する声だと思って、その音を楽しんでみてください。
ストレスを感じて緊張するのは、失敗の可能性が高まっているからではありません。
もっとうまくこなせるように、体が自分を応援しているサインです。
スポーツカーが、カーレースの直前にエンジンを始動する音のように楽しんでください。
逆にいえば、こういうことです。
100メートル競走のスタート地点についたとき、心身ともにリラックスしていたら、走りたい気持ちになるでしょうか?
その状態で全力疾走できますか?
こんなときに心身が感じる緊張感は、とても大切なものです。
自分を表現するために、戦いに勝つために、ポジティブに活用してください。
他人はあなたが思っているほど、あなたがどんなふうに見えるのか、どれだけうまくやれるのかを気にしていません。
あなたが個人的な問題にとらわれているのと同じように、彼らも自分自身の問題を解決するのに忙しいからです。
(本稿は、チョン・ドオン著 藤田麗子訳『こころの葛藤はすべて自分の味方だ。 「本当の自分」を見つけて癒すフロイトの教え』から一部抜粋・再構成したものです)