男性が作りたがるレシピの主な傾向

 大まかに、以下の特徴を備えた料理に男性はハマりやすいのではないだろうか。
 
・ざっくりした食べごたえだけれど奥が深い料理……カレー、カツ丼、チャーハン、マーボー豆腐など
・イタリアンや、ヨーロッパの香りがする洋食・横文字料理……パスタ(ペペロンチーノやナポリタン)、アヒージョ(スペイン料理)など
・自分だけを満足させることができるスタミナ系やジャンク系

 実際、「楽天レシピ」なるレシピが投稿されまくっているサイトには、わざわざ「男の簡単料理」と名付けられたカテゴリがあり、さらにランキングTOP20が紹介されているので、このうち上位10個を参考に見てみよう(12月2日現在)。

※以下、料理名は筆者が勝手に簡略化させていただいた
1位:卵とろとろカツ丼
2位:しいたけのチーズ焼き
3位:無限いんげん辛味噌炒め
4位:本格簡単激うまパスタ
5位:ウインナー・キャベツ・卵の炒めもの
6位:プロテイン蒸しパン
7位:インスタントラーメンで油そば
8位:シーフードミックスのボンゴレ
9位:スタミナ丼
10位:炒めものアヒージョ風

 たった10個のレシピを列挙しただけであるが、男性ならではの傾向がすでに表れている。

 また、料理ジャンルは中華、イタリアン、和食が代表的であり、幅広く「洋食」というジャンルではハンバーグやステーキ、カレーが探究される。なおカレーには、日本風のカレーとインドカレー、二つの方向性が用意されている。
 
 ある時知り合いが、インド寄りのカレー作りにハマった。スパイス約20種類を駆使して完成させたカレーの新作を、毎週タッパーに詰めて持参する。タッパー入りカレーが持参されているということはすなわち、その場にいる筆者らに「食え」ということである。
 
 それで筆者もありがたく「いただきます」などと言い、食すのだが、はっきり言ってある程度の本格さを備えたカレーなら、「本格的だ」ということがわかるだけで、それがどれほど突出してすごいものなのかは皆目検討がつかない。
 
 しかしとりあえず、本格的なものを作ろうとする姿勢にリスペクトがあるので、口にすればなんでもありがたく、おいしく思えてくる。むしろ「おいしい」以外に思うことができないので、「何かよくわからないが、本格的なテイストがしておいしい」「個人的には、先週のやつより今週のやつの方が好み」などの思ったままのことを、相手へのねぎらいの意を込めて若干大げさに伝える。かくして相手は喜び、翌週のカレーを用意する際のモチベーションを育み、案の定翌週新作タッパーが持ち込まれ……という無限ループが一時期続けられていた。
 
「スパイスによるカレー作りは何が面白いのか」を彼に語らせると、「奥深さが魅力的であり、それを探究できるよろこびがある。また、自分にも奥深い味を再現できることが楽しい」とのことであった。料理好き男性の声が集約されているかのごとき説明であった。