「アポを取るのに、いきなり電話をするのは、どうなんですかね」

 放送当時はガラケー全盛期。何か約束をするのなら、まずは電話をすることが普通だった。ドラマでも桜子は男たちに電話をかけまくっている。そうか、若手には電話で会話をするというセオリーが消えている。一説では社内の電話を取ることができない若手もいるらしい。

 確かに飲食店へ予約の電話をすると、謙譲語、尊敬語、丁寧語のミックスでアルバイトさんたちに対応されることがある。そうか「声が聞きたい」という愛情ゆえの欲望が、彼らにはない。「顔が見たい」とビデオ通話で直接顔を見る。すれ違うという風景は皆無だ。

 一連からドラマと通信機器の関係性は密接であり、特にラブストーリーには事欠かせないツールである。聞けば最近の10~20代にとって、LINEでさえも「おじさん、おばさんたちがやるから合わせているだけ」。ではどうやって連絡を取るのか言えば、InstagramやTikTokのメッセージ機能を使うらしい。わたしもひたすら押しまくっている、LINEのスタンプや絵文字でさえも過去の産物。そんな状況にこれから制作陣が、どこまで対応できるのか。若者とドラマのすれ違いとは、恒久なり。