推し婚で幸せをつかんだはずの
夫から別れを切り出したケース
「あんなに大好きだった彼女と結婚できて幸せだったはずなのに、まさか自分から離婚を切り出すことになるとは思わなかった」と嘆くN太さん(37歳・会社員)が結婚したのは5年前。「同じ職場で働いていた6歳年下の妻は、新人時代からアイドル級に人気があったんです。上司や同僚はもちろん、取引先からも指名が入るほどの人気ぶり。かわいくて仕事ができるだけでなく、学生の時はモデルのバイトもしていてスタイルの良さも群を抜いていました。もちろん私も出会った瞬間、好きになってしまった」
やがて妻になる女性が同じ職場に配属されたその日から、N太さんの“推し”生活が始まったといいます。「仕事面で分からないことや困ったことがあれば全面的にサポートし、先回りして彼女が仕事しやすいような環境を整えることに努めました。移動の時など会話の機会があれば、ひたすら彼女の話を聞いて、とにかくほめまくったんです」
周囲にもあきれられるほど献身的だったN太さんの情熱的なアプローチが奏功し、やがて2人は本格的な交際をスタート。その2年後に推し婚が実ったのでした。「結婚式は幸せの頂点に立っていることを実感し、感激で花嫁より私の方が号泣していたくらいです。ライバルが山ほどいた中で、自分を選んでくれたこともうれしかった」。
順風満帆な生活に亀裂が入ったのは2年前、N太さんの妻が昇進したことがきっかけでした。「それまでも仕事での活躍が目立った妻は、彼女の同期のなかでも一番の出世頭。さらに、歴代の売れ筋商品を大幅に超える大ヒット商品の開発プロジェクトのリーダーになって大成功を収めたことも追い風となり、若くして女性初の役職に就いたんです」。
昇進によりN太さんの妻は、ますます責任のある仕事をまかされるようになり、N太さんより会社にいる時間が長くなっていったといいます。その半年後には、N太さんより収入が高くなったそう。「私が仕事のやり方の基本を教えてきたはずの妻が、自分より稼ぐようになるのは、正直な話、面白くなかった。しかも、仕事で自信を付けたのか、妻は家でも威張るようになったんです」。