「私より稼ぎが少ないなら、
その分家事で貢献してほしい」

 ある晩、N太さんのほうが先に帰宅してソファでくつろぎながらテレビでサッカーを見ているところに帰ってきた妻は、「私より稼ぎが少ないならその分、部屋の掃除や料理とか家事で貢献してほしい」と明らかにイライラした様子で言い放ったのでした。

「翌朝、妻は私への暴言をわびていましたが、日を追うごとに私へのいら立ちが募っていったようでした」とN太さんが話すように、実際、妻はモラハラとも思えるような言動が目立っていくようになったといいます。「年上のくせに、私より稼ぎが少ないなんて悔しくないの?」「私が結婚してあげたことにもっと感謝すべきじゃない?」「そんなことだから、会社でもバカにされるんだよ」などと、N太さんは毎日のように妻から浴びせられる心ない言葉に傷つき、けんかをすることも増え、とうとう3カ月前に「もう無理だよ。別れたいんだ」と自分から妻に離婚を切り出したのでした。

「妻は、まさか私のほうから離婚を言い出すとは思っていなかったようで、『そんなことが知れたら、恥ずかしくて会社に行けない。あんたは一生、私の下僕でいればいいの!』とブチ切れて叫んでいました。でももう、私の心はすっかり離れています。もう“推し”を辞める決意は固いのです」

推し婚をうまく続けるための
二つのポイント

 推し婚で円満な夫婦関係を維持していくためのポイントは、二つあります。

 一つは、「妻のおかげで今の自分の幸せがある」という感謝の気持ちを、推し婚を遂げた夫(ファン)が忘れないようにすることです。結婚前に抱いた愛情をそのままキープし続けるのは難しくても、相手に対する感謝の気持ちを持つことはいつでもできるはず。

 自分の気持ちを立て直したい時も、改めて感謝の気持ちを思い出すことは有効です。「推し活から始まった恋愛で、結婚にまで至った幸運に感謝しよう。自分自身もそこまでよく頑張ったものだな」と思うことで、自分自身を鼓舞することができ、前向きになれると思いませんか?

 もう一つ、「夫を立てる」ということを、妻が忘れないようにすることも大事なポイントです。ご紹介したN太さんのエピソードのように、稼ぎがあったり、知名度や人気度が高かったりする妻と推し婚をした夫は、男のプライドが傷つけられるようなことがあると夫婦関係に亀裂が生じやすくなります。

 N太さんの妻も「私がこんなふうに働くことができるのは、あなたの支えや協力があってのこと。いつもありがとう」という気持ちを言葉で伝えることができれば、夫を立てる妻としても、もっと愛されるようになるのです。

 いろいろなカップルが結婚・離婚した2022年。下半期は推し婚が目立った印象がありましたが、今後、結婚・離婚の潮流はどの夫婦からどんなふうに生まれていくのでしょうか。2023年も見逃せませんね。