◆ガネーシャの課題 丁寧に自分と向き合う
◇「やりたくないこと」を「やりたいこと」に反転させる
競馬場で乗馬に興味を持った主人公は、「やりたいこと」が見つかったと喜んだ。しかし、それは「夢」ではない。ガネーシャは人間には「短期」と「長期」の欲求があると説明する。「乗馬をしてみたい」はあくまで短期の欲求であるが、「夢」は「長期」の欲求だ。
夢を見つけるためにガネーシャが課した課題は、「やりたくないことを全部書き出すこと」だ。主人公は思いつくままに「課長と働きたくない」「会社に行きたくない」「満員電車に乗りたくない」と、やりたくないことを書き連ねていく。
次に、その中から「やりたくないがやったほうがいいことを消す」。主人公は「会社に行きたくない」は消すことにした。会社に行きたくないのは人間関係のせいであって、目標に向かって仲間とともに努力する場自体は必要だと考えたからだ。
最後に、「やりたくないことを反転させてやりたいことに変える」。その結果、「課長と働きたくない」は「尊敬できる課長と働きたい」に、「満員電車に乗りたくない」は「移動でストレスを溜めず、万全の状態で働きたい」に姿を変えた。
この作業を進めるうちに、主人公は自分のある明確な欲求に気づく。それは、「尊敬できる仲間と一緒に、夢中になれる仕事がしたい」ということ。主人公はこれが自分の夢だと確信する。
◇怒りを言葉にする
自分の夢を確信した主人公は、課長に会社を辞めることを告げる決心をする。始めは真面目に取り合わなかった課長だが、主人公がこれまでに受けたパワハラをすでに上に報告してあると伝えると顔色を変える。
課長は法務部の担当者と会社の弁護士を引き連れて話し合いの場に現れ、パワハラの事実をもみ消そうとする。しかし、バクが録音していた音声が決め手となり、課長は処分を受けることになる。
ガネーシャは主人公が課長への怒りの気持ちを口にできたことを褒めると同時に、「苦手な人の信念を読みとること」も同じくらい大事なのだと説く。どんなに嫌な人間でも、その人なりの信念がある。その人なりの事情や背景があるかもしれない。怒りの気持ちばかりが強くなれば、「悪いのは全部相手だ」という気持ちに支配され、人間としての成長は止まってしまうのだとガネーシャは言う。