【必読ポイント!】
◆ガネーシャの課題 新しい自分に出会う
◇「痛み」が“本物の夢”をつくる

 主人公はバクから、ガネーシャが間もなく主人公のもとを去らなければならないことを知らされる。ガネーシャの父親であるシヴァ神が、ガネーシャが人間を育てることを快く思っていないからだ。主人公は破天荒ながらも自分の支えとなってくれたガネーシャとの別れが近いと知り、ショックを受ける。

 しかし、ガネーシャの課題は続く。尊敬できる仲間を探すために、主人公は「自分と違う分野・文化の人と話す」という課題に向き合う。多くの人と出会うべきだと理解してはいても、行動できる人は少ないのかもしれない。

 そして、ガネーシャは「自分の欠点や負の感情を受け入れる」という課題を課すとともに、主人公のもとを立ち去ることを告げる。ガネーシャとの別れが耐えがたかった主人公は、バクに「ガネーシャと一緒にいたい」という夢を食べるよう頼む。大好きなおばあちゃんとの死別もつらいものだった。いつか別れて苦しむならば、人を好きになる意味などあるのだろうか。

 悲しみはいつか、喜びの種になる。

 バクは、その夢は食べられないと断った。それは“本物の夢”を見つけるために必要だからだ。“本物の夢”に必要なのは、「痛み」である。“本物の夢”とは、自分と同じ痛みを持つ他者を救うことで自分を救うことなのだというのだ。

“本物の夢”には、「自分への愛」と「他者への愛」の両方が必要だ。これらが最も高い次元で交わったときに表れる思いが“本物の夢”であり、それを持ったときに人は自分の最高を引き出すことができる。

 どんな悲しみにも意味を見出すことはできる。最後には必ず人生を喜びに満ちたものにしてくれる。

 この別れの悲しみも、いつか喜びに変わるかもしれない。そう信じた主人公は、ガネーシャとの別れに向き合っていく。