ロサングエから、
新たな4ドア・フェラーリの歴史がスタート

 4ドアモデルへの顧客からの期待は、ずっと前から高まっていた。エンツォ・フェラーリを筆頭に2+2モデルの愛好家も海外では多い。今回のプロジェクトはエンツォの息子で副社長のピエロが強力に後押ししたという。これまで実現しなかった4ドアの跳ね馬がなぜいま登場したかといえば、それはまったく新しいアクティブサスペンションシステムにより、車高の高いクロスオーバーでもフェラーリらしいスポーツカー性能を実現できたからだ。このシステムは重心高もコントロールし、進化した4RM-Sエボと新たなABSシステムに組み合わせることで、プロサングエに最新のスポーツ性能を与えた。

 プロサングエはマラネッロのアッセンブリー工場の2階で組み立てられる。2階は12気筒モデル専用ラインだ。プロサングエはマラネッロにとって、プラットフォーム共有の大量生産型SUVではない。生産台数はこれまでの12気筒モデルの総量と同じ程度、年産2000台(総生産台数の20%程度)にすぎない。SUVだという思いが頭にあったので、大量に売って儲け、利益をスポーツカー製作に還元するものだと誤解していた。

 プロサングエは812シリーズやGTC4ルッソの後継車の側面を持っている。だからこそ初の4ドアで背の高いモデルであっても、マラネッロ製スポーツカーらしい性能にこだわって開発されたのだ。プロサングエから、新たな4ドア・フェラーリの歴史がスタートする。

(CAR and DRIVER編集部 報告/西川 淳 写真/Ferrari)

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