変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、6月29日発売)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)で、IGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏だ。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていく時代。これからは、組織に依存するのではなく、一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルにならざるを得ない。同書から抜粋している本連載の書下ろし特別編をお届けする。

「自己評価が異様に高い人」に共通する特徴とは?Photo: Adobe Stock

シンガポールの寿司の値段は、なぜ高いのか?

 仕事をしている限り、常に誰かからの評価を受けることになります。自営業であっても、取引先がいる限り評価を受けます。

 そうした上司や取引先からの評価に対し、納得している人もいれば、そうでない人もいます。そして、納得していない人の中には一定数、自己評価が異様に高い人が存在します。

 話は変わりますが、私が住んでいるシンガポールでは、寿司の値段が日本の何倍もします。シンガポールの寿司屋は日本と比較してネタの品質が高いということはなく、基本的には日本から運んだ食材を使っています。

 では、なぜシンガポールの寿司の値段は高いのでしょうか?

「日本から食材を空輸していて、地代も日本より高いから」というのは誤った考え方です。

評価は他人が決めるもの

 正しい答えは、「顧客がその値段を支払うから」というものになります。いくら「うちの寿司には日本の高級食材を使っている」と言ったところで、誰もその価値を認めなければ商売として成り立ちません。

 同じことが、他人からの評価についても言えます。いくら誰よりも残業をしていても、努力して資格をたくさん取っていても、他人が評価してくれなければ意味がありません

 自己評価が異様に高い人は多くの場合、自分がどれだけの労力をつぎ込んで結果を出したかを主張します。

相手の期待値を把握して、それを少しだけ超える

 仕事である以上、他人に評価されなければ意味がありません。そのためには、相手の期待値を把握することから始めましょう。

 仕事を進めるにあたって100点を取る努力をしたいと考えるのが人間の心情かもしれませんが、相手が70点を求めているのであれば、相手の基準で70点を少しだけ超えることが重要です。ここで、自分の基準で100点を取ったのだと主張しても意味がありません。

 また、相手が70点を求めているのに、必要以上の時間と労力をつぎ込んで100点を目指してしまうと、相手の期待値を不必要に上げることにもつながります。

アジャイル仕事術』では、相手の期待値を把握してそれに応える具体的な方法以外にも、働き方をバージョンアップするための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。