3の数で人脈をメンテナンスする

 次に大事になるのが、人脈をいかに維持し、よりつながりを深めていくかということ。つまり人脈のメンテナンスということになります。

 まず大事なことは人脈を重要度で仕分けするということ。全員と同じように付き合うということは物理的に不可能です。当然、付き合い方の濃淡が出てきます。

 重要な人物かどうかをどう判断するべきでしょうか? 会社や組織の中で意思決定ができる人かどうかで仕分けるのも1つの方法でしょう。組織の中で意思決定ができるとなると、やはり役員クラスということになりますが、なかなかすぐにはそういう人と付き合うことは難しいと思います。

 ならばワンクッション、あるいはツークッションで意思決定にアクセスできる人とつながるようにするのです。本部長や部長、あるいは組織によっては課長クラスが力を持っている場合もあります。意思決定に近い人を重要度の基準にすることです。

 認知心理学では、一生の間で本当に深く関われる人は30人だと言われています。どうやら認知心理学的に、その能力としての限界がその数字らしい。ですから人脈においても深い関係になるのは30人が限度だということです。

SNSの友達が何百人、何千人いても、仕事的には意味がない

書影『君たちの生存戦略 人間関係の極意と時代を読む力』(ジャパンタイムズ出版)『君たちの生存戦略 人間関係の極意と時代を読む力』(ジャパンタイムズ出版)
佐藤 優 著

 それを考え合わせると、そこまで関係性が深くない人も含めて仕事で実際に付き合える有効な人脈は、どんなに多くても100人が限度だと私は考えています。

 ですからFacebookで友達が何百人、何千人いるからといって、ほとんど仕事的には意味のないものだと考えていいでしょう。むしろいろいろな雑音が入ってきたり、面倒なことが起きたり、マイナスになることの方が多いように思います。20代から30代であれば人脈で100人は多すぎます。まずは先ほどの重要度などを基準に30人に絞り込み、できるだけ長く、密に付き合うようにすることです。

 経験則から私は3という数字が重要だと考えています。ある場所で面識を持ってこれはと目を付けた人物と一定の期間内に最低3回は会うこと。最初に会ってから1カ月以内にもう一度会う。それから3カ月以内に3回目、何かしら理由をつけて会う。3カ月から4カ月くらいの間で3回会うことができれば、強い印象を相手に残すことができます。その後は3カ月に1回ぐらいを目途にしてあいさつをするとか、食事に行くなどして顔つなぎをします。

 ちなみに、前任者から引き継がれた人脈は基本的に会社の人脈と考えましょう。それが自分の人脈になるのは、相手との相性がかなりよかった場合だけです。職種にもよりますが、引き継ぎは3割成功すればいい方でしょう。