世界的な株高が続く中、ニューヨークダウも高騰を続けている。2月1日、ニューヨークダウの終値は1万4009.79ドル。これは2007年10月12日以来、約5年4ヵ月振りの水準だ。その後も1万4000ドル近辺で推移しており、07年10月9日につけた史上最高値1万4146ドルまであともう一歩だ。
高騰の背景にはまず、財政を巡る懸念が小さくなったことがあげられる。3月1日から始まる予定の一律の強制歳出削減を巡っては、医療費など社会保障費の削減に切り込みたい共和党と反対する民主党の対立が先鋭化しているが、年末の減税の失効を巡る話し合い同様、金融市場や景気に大きな影響がでることがないように最後には妥協すると市場はみている。
5日にオバマ大統領は再度の強制削減の延期を表明した。6日には上院軍事委員会の共和党からも強制削減の7ヵ月先送りの案が示された。連邦債務上限については、5月18日まで暫定的に引き上げる法案も成立しており、当面デフォルトの懸念もない。
次に、緩やかではあるが着実に景気が回復していることがある。1月の非農業部門の雇用者数は前月比で15万7000人増加した。昨年12月の増加数も15万5000人から19万6000人に上方修正された。長らく米国経済のアキレス腱だった住宅市場も回復している。11月のS&Pケース・シラー指数(20都市)は前月比0.6%増となり、10ヵ月連続で上昇している。
S&P500ベースでみた企業業績も昨年の4%増益から今年は10%前後の増益となる見通しだ。一方、1月の失業率は7.9%と、FRB(米連邦準備制度理事会)がゼロ金利政策転換の基準としている6.5%を大きく上回る水準。金融緩和の状態はしばらく続きそうだ。今後も、企業業績は拡大し、金融緩和は続くという株式市場にとって好都合な状態が継続する。