著者には、脱サラして司法試験に挑戦した経験がある。合格したのは脱サラのたった2年後だ。しかも弁護士時代は、全国の平均弁護士の10倍以上のペースで案件を担当していたという。こうした神業が可能だったのは、「集中力」と「習慣化」を味方につけていたからだろう。あなたも本書を読めば、集中力と習慣化という強い武器を獲得できるに違いない。(ヨコヤマノボル)

本書の要点

(1)「集中脳」を鍛えるためにやるべきことは、課題やタスクに取り組み続けるための持久力と、集中する時間を適切に分配する力をつけることだ。
(2)タスクを習慣化したいなら、計画表をつくるとよい。日付の横にやるべきタスクを書き、タスクをやり終えたら、その日のマスをマーカーなどで塗っていく。
(3)スマホの通知などに気を取られてタスクを中断するのは、せっかく転がり出した重たい石をわざわざ止めるようなものだ。電源を切る、別の部屋に置いておくなどして、スマホとは物理的な距離をとったほうがよい。

要約本文

【必読ポイント!】
◆集中力を鍛える
◇「持久」と「集中」を上手に振り分ける

 集中とは、そもそもどんな状態なのだろうか。

 アメリカの心理学者チクセントミハイが提唱した「フロー」という概念を紹介しよう。フローは、人が完全に物事にのめり込んでいて、時間感覚がなくなるような状態を指す。推理小説に熱中しているとき、友だちとおしゃべりを楽しんでいるとき、プラモデルをつくっているとき……程度の差こそあれ、フローになった経験がある人は多いだろう。

 実は、とりわけ集中力を必要としそうなビリヤードや卓球、バドミントン、ボクシングなどのスポーツでも、選手が本当に集中しているのは試合時間の1割から半分程度だ。熟練したアスリートたちでさえ、本当に集中できる時間は極めて短い。残りの時間はリラックスしつつも、すぐ集中に入れるよう「モードをキープ」している。

 本書では、試合やタスクに取り組んでいる状態を「持久」、雑念がまったく入らない状態を「集中」と呼ぶ。持久している時間の中に「集中」を上手に振り分けるのが、集中力アップのコツである。