経済的に恵まれない母子家庭に育ち、高校・大学は奨学金を借りて卒業。そのため、1000万円に迫る“奨学金という名の借金”を背負うことになった。そこで、郷里に母を残して上京、東京国税局の国税専門官となった。配属を希望したのは、相続税調査部門。「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と考え「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったからだった。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、たった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない。10年ほど携わった相続税調査で、日本トップクラスの“富裕層のリアル”に触れた『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者が、富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣を初公開する!
ギャンブルよりも
投資でお金を増やす
【前回】からの続き 私は相続税調査で富裕層の預金などの動きをチェックしていましたが、多額のお金をギャンブルに突っ込んで損をしているケースを見たことがありませんでした。また、ギャンブルで財を成したという人も、やはり1人もいませんでした。
「宝くじが当たって大金を得ても、結局は残らない」といわれることがありますが、それは本当なのかもしれません。富裕層の大半は、堅実に仕事で稼ぐ人だったのです。ある程度お金の知識がある人は、ギャンブルをするよりも自分のビジネスや金融資産に投資をしたほうが効率的だとわかっています。
お金に働いてもらう
これはライターとして投資家などに取材して感じたことでもありますが、お金持ちほど「成長する資産にお金を投じる」、別のいい方にすると「お金に働いてもらう」ということを徹底している印象が強いです。
株式や投資信託、不動産といった、価値が増すものにお金を投じることは、「プラスサムゲーム」と呼ばれます。プラスサムゲームとは、取引の参加者全員が利益を上げられることをいいます。自分のビジネスにお金を投じて成功すれば、社長はもちろん、株主や従業員など、みなが恩恵に与れます。
ギャンブルは「マイナスサムゲーム」
株式投資も、お金を投じた企業が成長すれば、その会社の株主全員が利益をあげられます。このようなプラスサムゲームに類する投資については、政府もつみたてNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの優遇税制措置などを通じて支援しています。
経済成長の恩恵を受け、税負担を抑えられるという意味で、プラスサムゲームは理にかなっています。一方、ギャンブルは「マイナスサムゲーム」と呼ばれます。マイナスサムゲームとは、参加者の利益と損失を合算すると、マイナスになることをいいます。【次回に続く】
※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。