経済的に恵まれない母子家庭に育ち、高校・大学は奨学金を借りて卒業。そのため、1000万円に迫る“奨学金という名の借金”を背負うことになった。そこで、郷里に母を残して上京、東京国税局の国税専門官となった。配属を希望したのは、相続税調査部門。「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と考え「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったからだった。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、たった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない。10年ほど携わった相続税調査で、日本トップクラスの“富裕層のリアル”に触れた『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者が、富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣を初公開する!

【元国税専門官が明かす】<br />老後、戦略的にお金の余裕を得る方法Photo: Adobe Stock

年金は繰り下げたほうが得?

【前回】からの続き このようなルールから、「年金は繰り下げたほうが得」と思うかもしれませんが、そうとはいい切れません。人の寿命には限りがありますから、年金の受給開始時期を遅らせると、年金をもらえる期間が短くなります。

つまり、いつまで生きるかを予想しないと、最適な受給開始時期を決めることはできないのです。そこで1つの目安となるのが、平均余命の統計です。厚生労働省の「令和元年簡易生命表の概況」によると、65歳時の平均余命は男性が19.83年、女性が24.63年となっています。

何歳まで繰り下げると得か?

ここから、65歳の男性は85歳0か月まで生き、女性は90歳0か月まで生きると仮定します。この仮定に基づいてシミュレーションをしたところ、下記の時期に年金をもらいはじめると、年金総額が最大になるということがわかりました。

◆平均余命まで生きるとして、年金総額が最大になる受給開始時期
男性(85歳0か月まで生きると仮定): 69歳1か月まで繰り下げ
女性(90歳0か月まで生きると仮定): 71歳7か月まで繰り下げ
【元国税専門官が明かす】<br />老後、戦略的にお金の余裕を得る方法

ここまでにお伝えした年金のルールを踏まえると、老後の資産形成を有利に進めるには次のような戦略が有効と考えられます。

戦略的に働きながらお金の余裕を得る方法
☑ 在職老齢年金の減額に注意しながら60歳以降も働き続ける
☑ 年金はすぐに受けとらず、繰り下げを活用して受給額を増やす

結局、健康第一

働きながら年金を得ることが資産形成につながるという意味では、富裕層の資質として心身が健康であることも重要といえます。私は、公務員時代はほとんど健康に気をつかっていなかったのですが、独立して自営業者となってからは、食事や運動を意識するようになりました。

収入の源泉が自分自身だということを意識するようになると、否が応でも健康意識が高まるものです。納め続けている年金保険料を無駄にしないためにも、私は健康を心がけることにしたのです。【次回に続く】

※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。