経済的に恵まれない母子家庭に育ち、高校・大学は奨学金を借りて卒業。そのため、1000万円に迫る“奨学金という名の借金”を背負うことになった。そこで、郷里に母を残して上京、東京国税局の国税専門官となった。配属を希望したのは、相続税調査部門。「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と考え「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったからだった。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、たった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない。10年ほど携わった相続税調査で、日本トップクラスの“富裕層のリアル”に触れた『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者が、富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣を初公開する!

【元国税専門官が明かす】<br />富裕層がギャンブルをやらない合理的な理由Photo: Adobe Stock

ギャンブルは
理屈からいって儲からない

【前回】からの続き たとえば競馬であれば、賭け金のうち20%以上をテラ銭(胴元のとり分)としてJRA(日本中央競馬会)がとり、残りを賭けた人たちで分配するしくみになっています。ちなみに宝くじのテラ銭は、さらにその割合が高いです。

宝くじ公式サイトによると、2021年の当せん金としての還元率は46.2%、つまり半分以下です。あとの14.9%は印刷経費や手数料などの経費として使われ、37.5%は公共事業等、1.4%は社会貢献広報費として使われているのです。これでは、理屈からいって儲かるはずがないと考えるのが合理的でしょう。

そして、たとえギャンブルで勝ったとしても多額の税金で利益の多くが失われます。競馬などで得た利益に対しては、所得税と住民税を合わせて最大で55%が税金でもっていかれる計算です。

宝くじは貧乏人の税金?

宝くじの当せん金は「当せん金付証票法」という法律(通称・宝くじ法)によって非課税ですが、そもそも当たる確率はギャンブルより低いとも考えられます。これが「宝くじは貧乏人に課せられる税金」と揶揄(やゆ)されるゆえんです。

このように比較をすると、富裕層がギャンブルに手を出さず、株式投資などにお金を投じている理由がわかるのではないでしょうか。趣味レベルであればまだしも、資産を築く目的からすると、ギャンブルは明らかに避けるべきものです。

パチンコ台を買って自宅で楽しむ?

私もギャンブルは一切しません。やってみると楽しいかもしれませんが、どれくらいお金を失うかが読めないと怖いので、やる気にならないのです。きっと性格的にギャンブルに向いていないのだと思います。

国税職員時代にパチンコが好きな先輩がいましたが、富裕層にならってのことか、自分で中古のパチンコ台を買って自宅で楽しんでいたそうです。あれはギャンブルではなく、純粋な趣味といえるでしょう。【次回に続く】

※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。