ビジネスとして高値を享受できるのは
ごく一部に過ぎない

 さて、レアものの市場価値の話に戻りましょう。実はハカイダーのトレカだけでなく、昭和世代が子どもの頃に欲しくてたまらなかった商品も、大半の商品はそれほど高くは売れないという現実があります。これは逆に言えば、そういった思い出の商品は買う側にまわれば安く手に入ることを意味します。

 私が子どもの頃に、明治チョコレートのキャンペーンで「おれゴリラ」というぬいぐるみが社会的な大ブームになったことがあります。このゴリラのぬいぐるみ、数年前にリバイバルされたこともあり、数千円あればヤフオク!で入手することが可能です。

 コカ・コーラのジョージアのCMで、やはり国民的にブレークした飯島直子さんの「がんばってコート」も当時は広告代理店の社員でも手に入らないと言われるくらいの人気商品でしたが、現在ならそれほど高くない値段で手に入ります。

 こうして考えるとトレカのブームも同じで、ビジネスとして売り手が高値を享受できるのはごく一部の限られたジャンルのレアな商品だけ。それよりも一般の読者のみなさんの場合は「買い手」として昔欲しかった商品を探したほうが、よほど楽しいのではないかというのが私の結論です。

 さて、この記事をお読みの読者のうちごく一部、0.1%の超富裕層の読者には別のオチが用意してあります。

 ネットでググっていただくとわかりますが、冒頭に紹介したローガン・ポール氏の所持品とまったく同じポケモンカードが先月、秋葉原のカード屋さんに入荷したそうです。PSAという国際的な鑑定機関の鑑定はクオリティーが8.5と、これはローガン・ポール氏の持ち物よりはやや品質が落ちますが、販売価格は2億円。

 これを買ってアメリカに持ち込むと、サザビーズあたりで結構高く売れるかもしれませんね。うまくいけば差益は5億円? いやわかりませんよ。ひょっとすると損するかもしれませんね。なにしろこの世にたった一つではなく、二つ目が出現したことになるわけですから。