人材として注目すべきは「マイペース型」

 もう一つのマトリックス(図2)が、「能力」の代わりに「仕事の成果」を縦軸に、「意志」の代わりに「苦楽」を横軸に取ったものです。そうすると、第一象限は、「仕事が楽しくて仕方がない上に成果が上がっている」という「ハイパー型」となります。いわゆるエリートです。

「仕事の成果と苦楽のマトリックス(「君たちの生存戦略 人間関係の極意と時代を読む力」P.116より転載)図2.「仕事の成果」と苦楽のマトリックス(「君たちの生存戦略 人間関係の極意と時代を読む力」p. 116より転載) 拡大画像表示

 第二象限は「成果を上げているけれど仕事が苦しい」というタイプ。これを「ワーカホリック型」としましょう。とにかく自分に鞭(むち)打って仕事をする。第三象限は「苦しくて成果も上がらない」という「バーンアウト(燃え尽き)型」です。そして第四象限が、「仕事は楽しいけれども成果が上がっていない」タイプです。競争に勝とうというよりも自分のペースで楽しみながら仕事をしているということで「マイペース型」と呼びます。

 組織として問題になるのはまず第三象限の「バーンアウト型」でしょう。精神的に限界に近づいている可能性もあるので、仕事を進めるよりもとにかく休ませる必要があります。うつ病などにかかってしまうと再発の可能性もあり大変です。まずは仕事の最前線から離れてもらうということが必要になります。

 実は厄介なのは第二象限の「ワーカホリック型」です。滅私奉公でとにかく頑張る。結果を出していて頑張ってもいるので上司としてはぱっと見、文句のつけようがありません。しかし、この象限にいる人は、いつか燃え尽きてしまう可能性が高いのです。楽しく仕事をしていたのが、次第に、成果も上がっていないし苦しいという状態になってしまうのです。

 いわゆる「バーンアウト予備軍」と言い換えてもいい。組織として、上司として、まずこのタイプの部下には、あまり無理をさせないこと。そしてよく話を聞き、どうすれば苦しさを軽減できるのか聞き出す必要があります。

 実は人材として注目すべきなのは、第四象限の「マイペース型」です。大きな成果は上げていませんが、自分のペースで自分の好きな仕事に取り組んでいるタイプです。新しいアイデアが、彼らのような社員の中から生まれてくる可能性もあります。組織のポテンシャルとして、彼らの存在は生きてくる可能性があるのです。