書影『戦略コンサルタントが大事にしている 目的ドリブンの思考法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『戦略コンサルタントが大事にしている 目的ドリブンの思考法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
望月安迪 著

 すなわちこれは、「より大きな価値を実現している将来の状態」という目的の第1の性質を照らしたものだ。“目的は未来像そのもの”という考えは、ここから出てくる。

 次にObjective(オブジェクティブ)は、Object(オブジェクト、対象)の単語からつくられる。対象はターゲットとも言いかえられ、いわば「狙いとするもの」の意味合いだ。何かを狙おうとするとき、そこには人の意図を伴うから、Objective(オブジェクティブ)は「意図を持って狙いとするところ」という目的の第2の性質を示している。逆にいえば、人の意図を欠いた客観的な事実(ファクト)だけでは、目的は成り立たない。

 最後にGoal(ゴール)は、その語源(古期英語におけるgol)にまで遡ると、「限度・リミット」を意味するという。これはいわば「到達点」という目的の第3の性質を表したもので、マラソンのゴールがイメージに近い。中継地点や通過点は、目的ではないということだ。

 これら3つの性質を合わせ持って「目的」は成り立っている。つまり目的とは、「新たな価値を実現するために目指す未来の到達点」のこと。これが、目的の意味の中心だ。

目的とは「新たな価値を実現するために目指す未来の到達点」目的とは「新たな価値を実現するために目指す未来の到達点」。「Purpose」「Objective」「Goal」の3つを合わせ持って「目的」は成立している。 拡大画像表示

 強調しておくべきは、目的は“過去の延長線”から表れるものではないということだ。未来の到達点として描く以上、どのような姿を目指すのか、その高みをどこまで届かせるのかは僕らの意図に委ねられている。

 過去や現在がどうあっても、“これから”何をどこまで目指すのかを決める自由は僕ら自身にある。未来が偉大なものとなるか、こぢんまりとしたものとなるかはすべて自分次第なのだ。