ふたりで寝ると、こんな問題が起きる
アスリートと一般人との大きな違いは、大イベントの前夜にセックスをしたあと、アスリートはそのままごろりと眠るのではなく、起き上がって別室に入り、自分だけのベッドで眠らなければいけないところだ。
大切な試合の前のセックスは問題ないとしても、パートナーが隣で眠っていては、回復に支障が出るため、一流アスリートの多くにとっては、この選択肢は考える余地もない。回復の自己管理も仕事のうちだからだ。
いつもベッドを共にするパートナーが睡眠に与える影響は大きい。これまでの「『究極の睡眠』の7つのルール」の解説(本書参照)では、一人で眠ることを想定していた。
しかし、私はパートナーと一緒に寝ている人に睡眠指導を行うこともある。
パートナーの妨害は、英国での睡眠障害の原因として、ストレス、心配の次に多いといわれている。いびきや無呼吸(気づくのはたいていパートナーのほうだ)、布団の取り合い、夜中に目覚めてごそごそする――これらはすべて、パートナーがベッドに持ち込む可能性のある妨害の要因だ。
さらに、影響を受けていることに気づきにくい微妙な問題もある。
たとえば、就寝時刻と起床時刻の違いもその一つだ。パートナーがすでに眠っているときにベッドに入ると眠りをさまたげる可能性があるし、早起きの人がもっと寝ていたいパートナーの邪魔をすることもある。
初対面の気になる相手に「この店にはよく来るの?」と話しかけることはあっても、「右利き、それとも左利き?」とは質問しないだろう。しかし、関係が深まったとき、利き手が大きな影響を及ぼす可能性があることを知っておいて損はない。
入眠時には向かい合ったりくっついたりしているかもしれないが、たとえどんなに愛し合っていても、最終的にどちらかが先に寝返りをうって自分のスペースにおさまるものだ。他人が吐いた息を吸い込むのは眠りのさまたげになるため、無意識に身体をそむけてしまうのだ。