新曲内に満載された
「ゆういちろうおにいさん卒業」のにおい

 2月に入り、毎月番組内でパワープレーされる「今月の歌」がアップデートされた。2月の新曲は『キミにはくしゅ!』というタイトルで、筆者に先んじてそれを見た、同じく番組ファンの妻が「あれは絶対、ゆういちろうおにいさん卒業だ」と騒いでいた。SNSでもほとんどがゆういちろうおにいさん卒業確定の線で憶測が進んでいるらしい。きっと別れや旅立ちをにおわせるような映像や歌詞なのだろうと、未視聴の筆者は順当に推測した。
 
 しかし、実際に『キミにはくしゅ!』を見てみると、自分の想像がぬるかったことを思い知らされた。歌詞はたしかに卒業を連想させなくもないテーマなのだが、映像のインパクトが大きかった。何もない空間に巨大な花々の塊がドカンと浮かんでいて、筆者が真っ先に思い浮かべたのは“謝恩会”であった。『キミにはくしゅ!』は“卒業のにおわせ”どころか、ほぼ直接的に卒業(謝恩会)を表現してきたのであった。
 
 また、登場する4人のおにいさん・おねえさんのうち、3人が基本無地の服を着ているのに比して、ゆういちろうおにいさんだけが「プライベートであれを着る人はほとんどいないだろう」という趣の、ピンク地に赤いバラが無数にあしらわれたデザインのド派手なセーター(ニット)であった。

 一人だけ柄物を着たゆういちろうおにいさんは、曲中、一人だけ立派な椅子に座るなどして、「ゆういちろうおにいさんは、今回は特別」という感をさらに強めた。なおそのド派手なセーターはゆういちろうおにいさん効果があってか、番組放送後即時品切れになったそうである。
 
 ここまであからさまなメッセージを受け取って、番組ファンたちはざわついた。応援している人の門出だから応援したい気持ちはもちろんだが、そうはいってもやはり、もう同番組に彼が登場しなくなるのは寂しいのである。
 
 筆者も、ゆういちろうおにいさんが大好きであった。特に今年から始まった新コーナー「しりたガエルのけけちゃま」は同番組の新境地を開拓する実験的なもので、べらぼうに面白い。

 ゆういちろうおにいさんふんする「けけちゃま」というカエルが、他3人のおにいさん・おねえさんたちに1対1で質問攻めや無茶ぶりをしていくという内容なのだが、ゆういちろうおにいさんだからこそできる絶妙な攻め口であった。だから「ゆういちろうおにいさんが卒業して、もうけけちゃまが見られなくなる」と悲しんだ番組ファンも多かったはずである。
 
 そして2月20日、NHKから同番組出演者の卒業について発表された。

 卒業するのはゆういちろうおにいさんではなく、第12代たいそうのおにいさん・福尾誠、こと「まことおにいさん」であったのである。