ありのままの自分を愛せるか、ネガティブさも受け入れるか

 ルッキズムに対抗するかのように生まれたのが、「ボディ・ポジティブ」の考え方だ。

 これは、「ありのままの自分の体を愛そう」というムーブメントで、世間の美の標準に無理に合わせず自由に生きて楽しむといった意図が込められている。

 さらに最近では、「ボディ・ニュートラル」も広まりつつある。ありのままを愛そうと思っても、それぞれに悩みがあって、その悩みを完全に無視するのも不自然であり、自分の体に対するポジティブさもネガティブさもニュートラルに受け入れようという意味合いの考え方だ。

 どちらの考え方にも共通するのは、人からの評価や人と比べて自分をどう評価するかといった観点からは距離がある点だろう。 

 また、若者に人気のSNSでルックスへのこだわりが強くなることを先述したが、一方でこういったSNSは、ルックスだけではない「個性」が表現できる場であるのも確かだ。ダンスやネタを披露する動画はどのSNSでも大人気であり、見た目だけですべての評価が決まるわけでもない。ただしそれも含めて、人気を集めるために「どのように見られるか」を計算する場に若者たちが身を置いているのも事実だ。
 
 ルックスについてあまりこだわりのない人であれば、なぜ今回の高校生向け整形広告が物議を醸すのか、わからないかもしれない。しかし、ルッキズムについてこれまで積み重ねられてきた議論の末に今回の批判噴出があることは、確認しておいたほうがよいだろう。