孫正義の「眼力」で企業に投資してきたが…

 2020年度の第1四半期から第4四半期にかけて、SBGの業績は拡大した。その背景に、コロナ禍をきっかけにテレワークなど世界経済のデジタル化が一時、急加速したことがある。また、景気を下支えするために、米FRBなど主要先進国の中央銀行は金融緩和を強化した。

 そうしてIT先端企業の高成長は間違いない、といった強い期待が盛り上がり、SBGが出資したIT先端企業の株価は大きく上昇した。

 ところが足元、SBGの業績はかなり不安定だ。22年7~9月期、同社は保有してきたアリババ株を一部売却し、3兆336億円の最終黒字を確保した。しかし、10~12月期、SBGの純利益は7834億円の赤字に陥った。21年度第4四半期以降は、四半期ベースで3回目の最終赤字だ。

 これまでSBGは、孫正義会長兼社長の「企業家の資質を見抜く眼力」に基づき、成長期待の高い世界のスタートアップ企業などに投資し、利得を手に入れてきたといえる。中でも、アリババの急成長によってSBGの資産価額は急増した。

 成長期待の高かったアリババ株を担保にSBGは投資資金を借り入れ、ビジョンファンドなどを設立し、多くのユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の未上場スタートアップ企業)に資金を投じた。傾向として、同社はSNSやシェアリングなどソフトウエアの設計と開発に集中する企業を選好したように見える。それによって、一時、同社は世界経済のデジタル化の加速を背景とする株価上昇をより効率的に取り込むことができた。

 見方を変えると、SBGはハイリスク型の資金運用を強化した。その分、業績は世界経済の環境変化に影響されやすい。景気が拡大すると出資先企業の収益は増え、高値でのIPO(=新規株式公開)の増加などによって業績も拡大しやすい。反対に景気が減速すると株価は下落し、SBGの業績も悪化する。このところSBGが持続的に収益を上げづらくなっている要因として、世界経済の減速の影響は大きい。