「売上を上げる」というのは、お客さまの数をどれだけ増やせるか、さらに既存のお客さまの単価と購買頻度をどれだけ上げられるかに尽きる、ということです。このように、すべての売上は「お客さまの人数×単価×頻度」で成り立っています。

 プロダクトの売上が伸びない状況を打破するために、新商品を出したり、バージョン違いの製品を出したり、新規事業を立ち上げたりしますが、中途半端な価値を量産する方向へいきがちです。誰がその商品を買うのかがわからないままでは、いくら商品やサービスを増やしてもうまくいきません。

 今、そのプロダクトの売上が伸びていないとしたら、プロダクトに価値を見いだす潜在的なお客さまに届けられていないか、届けるお客さまが間違っている、もしくは届けるべきお客さまが明確になっていないことが考えられます。売上を上げるために、ここでももっとも重要なのは「誰がお客さまなのか」を定義することです。

「1→10」の段階
大規模投資前の収益性確立期

 売上の構造を理解していただいたうえで、次は「お客さまの数の規模」を大きくしていく流れについて考えてみます。1人でも多くの方にお客さまになっていただくべく、「WHOとWHATの組み合わせ」を見つけながら数の規模を拡大していきます。

 次は、「1→10」へと拡大していく段階です。「1→10」の段階は、「0→1」で誕生した1人目のお客さま(WHO)と同様に、このプロダクト(WHAT)に価値を見いだしてくれるお客さまを探し、このプロダクトの便益と独自性を認知していただき、1人目のお客さまと同様な「WHOとWHATの価値関係」を拡大していきます。

「0→1」の段階で最初のお客さまが見いだした便益と独自性に対して、同じように価値を感じる潜在的なお客さまがほかにもいるはずです。そのお客さまを見つけてきて、「この商品には、こんな便益と独自性がありますよ」と伝え、「私もそれがほしかった」「自分にも必要なものかもしれない」などと感じてもらって購入してもらうというのが、この段階です。