韓国の若者に広がる
反日姿勢に変化

 全経連が20代30代を対象に2月16日から21日までオンラインで実施した調査によれば、日本に対する印象について「肯定的(ポジティブ)」が42.3%で「否定的(ネガティブ)」の17.4%の2.4倍となった。「普通」は40.3%であった。

 これまでの世論調査では、日本を否定的に考える人が7~8割というのが通例であった。若者だけが対象とはいえ、このような結果は驚きである。

 さらに注目すべき点は、日韓関係改善に向けて優先的に考慮すべき価値としては「未来」(54.4%)が「過去」(45.6%)を上回ったことである。韓国政府が提案する徴用工問題の解決策としては、日韓の民間・企業の自発的な寄付金で被害者に補償する案について、52.4%が「日韓関係に肯定的な影響を及ぼす」と評価している。

 朝鮮日報は「韓国はもはや歴史争いをしなければならない段階を越えた国だ」と題する社説を掲載。「政治家たちは日本の話さえ出れば敵意を表すことが当然とされ、それは文在寅(ムン・ジェイン)政権で最高潮に達した」「しかし、歴史に埋没し慣性的に日本を攻撃することは国益を害し、戦略的な選択肢を自ら制約することにつながる。韓国は今や歴史で論争を繰り返すようなレベルの国ではない」と論じた。

 こうしたコメントが主要紙に出ることは、韓国の変化を象徴しているのだろう。

韓国政府の解決策に対し
支援団体から強い反発の恐れ

 主要紙の朝鮮日報、中央日報は、いずれも社説で、日本側に対し、尹錫悦大統領のイニシアチブに見合った対応を求めている。

 中央日報は岸田首相の対応にいら立ちを隠さない。尹錫悦大統領は自分の考えをストレートに伝えて対話を主導する「私が主人公」というスタイルの4番打者、一方、岸田首相は「聞く力」を自慢し、相手の話を聞くことに集中する「あなたが主人公」というスタイルの8番打者だと論評した。岸田首相に日韓関係を打開するイニシアチブを取ってほしいとの強い希望を述べたものである。

 韓国のマスコミや国民世論は、尹錫悦大統領の今回の解決策発表により、「次は岸田首相が応える番だ」との思いが強い。それがかなえられないときには反発として跳ね返ってくる可能性がある。聯合通信は解決案発表後も前途は多難な見通しだと報じている。

 外交部は解決策発表後に原告らに賠償金を受け入れる意思があるか確認するが、同意しない原告が別の訴訟を起こす可能性があるという。支援団体は発表後に立場を表明するとしているが、強い反発が跳ね返ってくるだろう。

 これまでの韓国の政権は、慰安婦問題などの具体的懸案問題で日韓が合意しても、市民団体から強い反発に遭うと、その合意をほごにしたり、事実上無効にしたりしてきた。岸田首相が外相時にまとめた元慰安婦合意も、慰安婦財団が解散に追い込まれた。このように韓国では、市民団体の反発は激しく政府を動かす力を持っているが、尹錫悦大統領の意思は固い。