日本を代表するトップ企業
王子製紙はいかに変わったか
最初に知っておくべきことは、「会社の寿命はなぜ30年なのか?」という点です。この数字は創業から倒産までの期間ではなく、純粋に大企業がその絶頂にある期間はわずか30年に過ぎないという話です。
会社の寿命が30年だという説が広まった1984年当時は、それまでの日本をけん引してきた重厚長大産業の成長に陰りが見えた時期でした。それに代わって軽薄短小と呼ばれたエレクトロニクスや新素材を得意とする戦後の企業が、日本の産業全体の主役になろうとしていたのです。
そこで、日本を代表するトップ企業の寿命が調査されました。明治29年から昭和57年まで10年おきに総資産トップの会社100社をリストアップしたところ、日本を代表するトップ企業は次々と入れ替わっていることが判明したのです。
具体的には、調査の100年間でトップ100に入り続けた会社は王子製紙などわずかに3社。そして8割の会社が30年以内、つまり3期以内にトップ100から脱落していました。日本を代表する大企業がトップ100に入ることができた期間は、平均して25年。これが「会社の寿命は30年」という当時の流行語の根拠でした。
ちなみに1984年からまた40年近くたった現在、王子製紙は王子ホールディングスとなり、時価総額順位はこの原稿を書いている時点で日本全体の247位につけています。日本経済を代表する100社ではなくなっただけで、依然、日本を代表する大企業であることには変わりはありません。