石井亮次アナウンサーが大人気だ。この春から、長寿番組『世界ふしぎ発見!』(TBS系 土曜午後9時)の草野仁アナウンサーの後任司会者に大抜擢されたり、『ノックは無用!』『ノンストップゲーム』など伝説の番組も生み出した関テレ土曜昼枠の新番組『LIVEコネクト!』のレギュラー司会者に決まったり‥‥。地方ローカルだった『ゴゴスマ』(TBS系)を全国区の人気番組に躍進させたばかりか、全国からも依頼が殺到するのはなぜなのか?石井亮次アナウンサーが自らのコミュニケーション術や話し方を余すことなく書いた著書「ゴゴスマ石井のなぜか得する話し方」から抜粋して紹介する。
中学2年生がわかる「易しい」言葉でしゃべる
誰のことも傷つけない。できるなら、みんなを喜ばせたい。ふわっと楽しい空気をつくる。そういうことを全部ひっくるめて「やさしい」ってどういうことだろうと考えている時に、ふと気づきました。
「優しさ(やさしさ)」は「易しさ(やさしさ)」だ、と。
僕が担当している「ゴゴスマ」は午後の時間帯のワイドショーです。視聴者の方がどんなシチュエーションでご覧になっているのかを想像すると、ずっとテレビの前で食い入るように見つめている、という人は少ないんじゃないかと思います。掃除をしながら、とか、夕飯の下ごしらえをしながら、とか。あるいは、コロナ禍でテレワークが広がった今なら仕事しながら、なんて人もいるかもしれない。
となると、画面を見ていなくても音声だけで意味が伝わったほうが「優しいな」と思うわけです。で、そのためには「易しい」言葉で話したほうがいいな、と。
なるべく平易に、わかりやすく話すことが相手を思いやる優しさに通じるのだと思います。イメージとしては、中学2年生くらいにわかるレベルというのを意識しています。
往年の名司会者、浜村淳さんはかつてこういう「やさしい」名言を残しています。
「斜めになった地面、それを斜面と言います」
「斜面」という言葉を、ここまで「易しく」説明するのか! という驚き。これぞ、やさしさだと思うのです。
ラジオのパーソナリティを長く続けている方は「相手が耳だけで理解できる」を常に考えていらっしゃるから、「易しく話す」方が多い。
そして、これはテレビやラジオといったメディアだけの話じゃなく、普通の日常会話でも同じだと思うのです。
むつかしいことをやさしく
有名な言葉なので、ご存じの方も多いと思いますが、井上ひさしさんが色紙などに書かれていたというこの言葉が好きです。
「むつかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをおもしろく
おもしろいことをまじめに
まじめなことをゆかいに
ゆかいなことはあくまでゆかいに」
この本で「会話」のコツとして僕が伝えたいのも、まさにこういうことです。
「むつかしいことをやさしく」「まじめなことをゆかいに」
この言葉を胸に、僕がこれまでの経験で気づいたこと、わかったことのすべてを「やさしく」「ゆかいに」お伝えしていきたいと思います。
*本記事は、「ゴゴスマ石井の なぜか得する話し方」から抜粋・編集したものです。