
『週刊ダイヤモンド』4月8日号の第1特集は「儲かる農業2023 下克上」です。JAグループに対する農家の怒りが沸騰しています。肥料や飼料の高騰で離農が相次いでいるのに、手を差し伸べる農協の組織が少ないからです。農協に代わって農業の「主役」に躍り出るのはどの企業か。また、金融事業の減益ショックに耐えられず、消えゆく農協はどこなのか――。農家1738人から得たアンケートの回答と、ダイヤモンド編集部の総力取材で迫ります。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
全国ワースト5位はJA堺市
1位はJA共済連幹部の地元農協
JAグループという巨艦の沈没はもはや止められないかもしれない。とりわけ金融事業(銀行業務の信用事業と共済〈保険〉事業)に収益を依存する農協では、積み荷を捨てても時すでに遅しという状態になってしまっていると言わざるを得ない。
ダイヤモンド編集部は4年連続で、全国の約550農協の財務データを調べ、金融事業の減益額を推計して「JA赤字危険度ランキング」を作成してきた。
詳細は後述するが、ダイヤモンド編集部が試算した、農協の5年後の減益額は全国で合計1468億円だ。この巨額減益を各農協に割り振ったとき、現在の収益力で減益ショックを吸収できる農協はどの程度あるのか。独自に試算したところ、過去最多となる157JAが5年後には赤字に沈むことが分かった。