かげりが見え始めたSDGsの説得力
コオロギ食が炎上しやすかったタイミング
実施されたコオロギ給食の1回目と2回目の違いはこんな感じだ。
・2回目=大学いも(コオロギエキス)
ほぼ、これのみである。食料科の生徒が調理し、希望する生徒がそれを試食するに至った流れは共通している。ではなぜ2回目は目立って炎上したか。
推測される原因は二つだ。一つは「インフルエンサーに取り上げられたので注目を浴びた」、もうひとつは「“コオロギ推し”に世間がそろそろ我慢できなくなってきていたタイミングだった」である。私見では、この二つが密接に絡み合って今回の炎上を起こしている。
コオロギは環境に優しく飼育できて栄養価が高い次世代のスーパーフードとして注目を集め、世界的に危惧されている食糧難を解決してくれるかもしれない希望の光といった見方をされてきた。昨今プッシュされているSDGsにもよくフィットする食材であった。
しかしSDGsプッシュも最近一巡して、SDGsに懐疑的な目を向けるスタンスもやや市民権を得てきていた頃合いである。「地球の未来のため」を掲げるSDGsは正しい以外にありえないのだが、その「“正しい以外にありえない”が振りかざされすぎ」と感じた人たちが、「同調圧力に耐えられない」や「うさんくさい」といった声を発表し始めている。SDGsは、すべての批判をかわしうる無敵の盾ではなくなってきていたのであった。
つまりコオロギ食の防御力がやや弱まっているタイミングで、インフルエンサーがコオロギ食についてネガティブな取り上げ方をしたので、一気に火がついて炎上へと至ったのではないか…と個人的には見ている。