「トランプ氏の支持者も含め、共和党の関係者全員に話をしていきたいと思っています。どんなリーダーシップを発揮したいのかについてです。国境の安全を確保し、より強いアメリカの姿を打ち出し、連邦政府の予算を削減する。これこそ自分が擁護する価値観だと訴えていくつもりです」
そして司会者から「トランプ氏がマンハッタン地区検事を激しく攻撃していることについてどう思うか」と問われ、次のように答えた。
「大陪審が起訴に値する根拠、つまり相応の理由があると判断し、起訴を決めたのです。これはアメリカの刑事訴追の基本であり、罪が確定するまでは推定無罪の原則を貫いていく必要があります。その上で裁判が行われ、有罪か無罪かが言い渡される。それがアメリカの司法制度です。プロセスの始まりが気に入らないからといって、司法制度全体の信頼性をおとしめるようなことがあってはなりません」
最後に、もしトランプ氏が共和党の指名候補になったら、支持するかと聞かれ、「トランプ氏は次のリーダーとして国を率いるべきではありません。私が立候補を決意したのは、今こそ未来に向けて新しい人が立候補すべきと考えたからです」ときっぱり述べた。
ハッチンソン氏の主張は共和党の伝統的価値観を反映していて、党内穏健派の票の受け皿となることを狙っているように思える。問題はトランプ氏と比べて圧倒的に知名度が低いことだが、今後の裁判の行方や捜査の展開によってはハッチンソン氏の支持が一気に上がる可能性はある。
来年11月に予定される大統領選までは1年半以上ある。これから何が起こるのか、どんなサプライズがあるのか目が離せない。
(ジャーナリスト 矢部 武)