苦い顔をする男性写真はイメージです Photo:PIXTA

仕事で成果を出す上で重要なのが、「自らの仕事の付加価値」を自覚しておくことだ。ベストセラー編集者の柿内尚文氏は、何をやってもうまくいかなかった新人時代にそれを意識し、視点を変えることで暗黒時代をブレイクスルーできたという。※本稿は、柿内尚文『このオムライスに、付加価値をつけてください』(ポプラ社)の一部を抜粋・編集したものです。

出版社のダメ社員が
ブレイクスルーできた理由

 仕事を始めてからの僕には暗黒の時代がありました。

 20代のころです。出版社に転職して最初の1年はまさに暗黒でした。

 理由は「仕事がまったくできないから」。

 うまくいかないことが多く、失敗の連続でした。

 雑誌の編集をしていたのですが、企画を何本出しても会議でオールボツ。取材に行っても相手を怒らせ、原稿が締切に間に合わず上司からも怒られてばかり。そんな暗黒時代が1年以上続いたのですが、そこに光が見え始めたタイミングがありました。

 雑誌の企画は、企画会議で議論されます。編集部のメンバーが各々企画を持ち寄り、それぞれの企画について編集長はじめ参加メンバーで議論します。

 会議の様子を1年間見続けてきた中で、気づきがありました。

 それは、会議で提案される企画のほとんどが、提案者が「自分がおもしろいと思った企画」や「自分の興味がある企画」だということでした。

 そこで、この中で自分の企画を通すには、独自の視点が必要だと思い、自分は違う視点で提案をしようと思いつきました。

 それが「お客さんの視点」です。

 お客さんの視点なんて、今となっては当たり前のことなのですが、当時(90年代)の雑誌の世界では「自分の好きなことをやることがいい」という空気感がありました。

 そこに思い切って、「お客さん視点」を持ち込んだ企画を提案してみたのです。

 すると、自分を取り巻く状況が劇的に変化していきました。

 なんと、企画がどんどん通るようになったのです。

 さらに雑誌に掲載されたその企画が、読者からの人気投票で上位に来るようになりました。

 このとき、僕は「自分の付加価値」を発見しました。

 周りの人が「自分視点」で考える傾向にある中で、「お客さん視点」で考える自分は、そこが付加価値になると。

 急に能力が上がったわけではありません。ただちょっと視点を変えただけでした。

 それだけで、こんなにも自分を取り巻く状況が変化することに驚きました。

自分の付加価値の言語化は
成果につながる行為

「自分の強みが何かわからない」という悩みを持っている人は多いようです。

 自分の強みは何か?

 これをすぐに答えられたら、それは自分の付加価値をわかっている人です。

ビジネスマンのイラスト同書より転載