今は「10年、20年と続くビジネス」を
探している

 そんなバフェット氏が投資をしたのが、日本の5大商社です。バフェット氏が投資を増やすと発言したことで商社株は上昇しましたが、そもそもなぜバフェット氏は日本企業に投資をするのでしょう。それもなぜ商社なのか? いまのところバフェット氏が大規模に投資をしている日本株には、5大商社の名前しか挙がってきません。

 ここが面白いところです。

 5大商社は日本の時価総額ランキングトップ50に入っていますが、そのトップ50の顔触れを見ると、商社よりもバフェット氏好みの世界的なブランドは他にもっとたくさんあります。

 トヨタ、ソニー、任天堂、キヤノン、ブリヂストン、HOYA、オリンパスなど……。どの会社も、日経平均が7000円台に暴落したころにバフェット氏が買っていてもおかしくはなかった顔触れです。

 にもかかわらずバフェット氏は、ソニー(時価総額約15兆円。以下カッコ内同)を買うよりも三菱商事と伊藤忠(合計約14兆円)がいいし、HOYA(約5兆円)よりも三井物産(約6兆円)、オリンパス(約3兆円)よりも丸紅(約3兆円)を選んでいるわけです。いまのところは、という意味ですが。

 これはバフェット氏を長年観察してきた人たちから見れば、ちょっと面白い傾向です。なにしろブランドではないものに投資をしているところが、いつものバフェット流とは違います。そしてその謎を解き明かすヒントは、今回来日したバフェット氏のインタビューコメントから見て取れます。

 報道されたバフェット氏のコメントを引用すると、「今後10年、20年とうまく続いていくようなビジネスや人々を探している。私の理解を超えるようなものでない限り、全ての日本の大企業について見続けている」とバフェット氏は述べています。

 要するにバフェット氏は齢(よわい)93歳に到達してなお、新しいものを勉強しています。こうして、日本企業を理解するために来日しているのです。そしてまず5大商社から投資を始めたということは、5大商社について勉強したところ、その強みが20年、50年と続くと評価できたからでしょう。

 実は日本の総合商社が成功しているのも投資ビジネスです。バフェット氏のように上場株式に投資するのではなく、サハリンのLNGやオーストラリアの肉牛、南アメリカの穀物などビジネスチャンスに資本を投下します。武器となるのは情報量と人間です。

 このように「情報を武器に金だけではなく人を投資することで、投資の成功率を高める」というビジネスモデルは、日本の総合商社最大の特徴です。

 これが欧米のファンドであれば口先では同じことをやっていると言いますが、人の投入関与度ははるかに小さい規模でしか行われません。