とある女性の談話
「マスクを外す人は○○」

 4月10日、中年~前期高齢者ほどの年齢の女性2人が立ち話をしているシーンに行きあった。場所は東京都品川区である。話題は、連れている犬についてから、他人のうわさ話に移った。その中で、一方の女性がこう話したのが印象深かった。
 
「どこそこの横断歩道で○○さんを見かけたんだけど、あの人マスクをしてなくて、『ああ。この人(人生的な何か)捨ててるんだ』と思った」
 
 地方より都会の方が、新型コロナは恐れられない。だから都会でのマスク着用は、地方に比べると「自分の身を守る」というより、「他人に迷惑をかけない」という意図の占める割合が大きいだろう。また、価値観のアップデートは高齢になるほどゆったりしたスピードで行われる。
 
 この二つの前提を元に、先の女性の談話を勝手に読み解いていくと、「政府が“マスク着用任意”を打ち出した今でも、『マスク非着用は迷惑行為』として根強く認識されている」ことがうかがえる。
 
 任意着用となってから、屋外を歩いている際にマスクをあごに引っ掛けるなどしてちょっと外す人は増えたようだが、「ちょっと外しただけ」でも、見る人によっては「この人(人生的な何かを)捨てている」と言われてしまうこともある。
 
 この女性の表現はよほど極端だったかもしれないが、「マスクを外す人」に対しては大なり小なり、そういった感想を持つ人がいるということであろう。
 
 より若年層ではよりスピーディーに価値観が刷新されていくのであろうが、少なくとも彼女くらいの年齢層では、しばらく「脱マスクはありえない」と受け止められそうである。