気づかれ始めるマスクのメリット多数、
令和の新カルチャーになるか

 元々は、コロナ禍におけるマスク着用の目的は「まん延防止」、これのみであった。そして「まん延防止」に付随して、二次的に「まん延防止に協力しようとしない“マスク非着用”はマナー違反」という考え方が生まれ(アンチマスク派はこれを“マスク着用の同調圧力”と称している)、結果、これが主目的(まん延防止)と同等かそれ以上の強制力を発揮することになった。

 さらに、マスクは呼吸が苦しいし、気にすると臭い気がするし、いちいちしなきゃいけないのが煩わしいしで、子どもが着用すると発育に影響するのではないかといった議論も出てきて、悪い面がいろいろと目立った。
 
 しかし日々マスクを着用しているうちに、いや応なしにマスクのメリットを複数発見することになる。
 
・新型コロナだけでなく、ウイルス全般からガード
・花粉も黄砂もガード
・冬は暖かい
・「顔を他人にさらさなくてよい」という安心感がある。メイクの手間が省けることも
・マスク補正でルックス・好感度アップ
・保湿効果で喉が痛くなりにくい
・保湿効果・外気から保護効果で肌荒れ防止
 
 筆者も、マスクで口元が覆われているのをいいことに、ちょっとした外出ならヒゲをそらなかったり歯を磨かなかったりと、邪悪な“楽”をする日が増えた。
 
 人々はこれらマスクの恩恵を存分に享受し、同時に日々のマスク着用でマスクに対する抵抗感を薄めていった。そんな毎日を3年超も続けたのである。マスクを悪からず思う気持ちが芽生えて当然である。
 
 そうなると「マスク非着用こそベストの状態」とはもはや言えず、脱マスクはゴールではなくなる。ゴールと設定するのが妥当というほど、求められなくなったのである。
 
 そこに加えて、マスク非着用は他人から変な目で見られたり、「マナー違反」と思われるリスクがある。場合によっては「人生を捨てている」とすら言われるのである。こうしたリスクをわざわざ冒すくらいなら、おとなしく今まで通りマスクをしていよう……と考えるのが自然である。
 
 これまで政府や岸田文雄首相が小出しに脱マスクを提唱してきて、いよいよ気合を込めた「マスク着用は任意」宣言がなされても着用率は変わっていないのだから、しばらくは変わるまい。多くの人が「外しても問題ない」と判断できる理由を同時に、一斉に共有しない限り、脱マスクは行われないであろう。
 
 すなわち、最初の山場は夏であると見ている。「暑い→マスクを外そう」でも十分機能するが、「熱中症対策→マスクを外そう」になると非の打ちどころがないくらい正当な理由が備わる。夏場、あるいは気温によっては5月頃から脱マスクは進むはずであり、このタイミングで脱マスクが行われないのであれば、日本人は世界が認めるマスク民として21世紀を過ごしていくのであろう。
 
 また、仮に脱マスクが進んだとしてもマスクを良しとする空気は残存するはずであり、たとえば「帽子を被る」のと同じくらいカジュアルな感覚で、マスクは着用されていくはずである。
 
“マスク着用”はネガティブ一辺倒な事柄でないことが再認識された今、令和の新カルチャーとして皆でめでていければ楽しいはずである。