発症リスク低下につながる可能性
解析の結果、胎児期または幼児期初期に室内飼いの犬または猫に曝露することで3歳までに食物アレルギーを発症するリスクが低下することが明らかになった。調整オッズ比は、胎児期の室内飼いの犬への曝露で0.86(95%信頼区間0.78~0.93)、猫への曝露で0.84(同0.75~0.93)、幼児期初期の室内飼いの犬への曝露で0.87(同0.80~0.94)、幼児期初期の猫への曝露で0.87(同0.78~0.95)だった。
3歳までの食物アレルギーの発症を食品ごとに検討すると、卵アレルギーは、胎児期および幼児期初期の室内飼いの犬と猫への曝露で低下、牛乳アレルギーは、胎児期および幼児期初期の室内飼いの犬への曝露、あるいは幼児期初期の外飼いの犬への曝露で低下、小麦アレルギーは、胎児期および幼児期初期の猫への曝露で低下、大豆アレルギーは、幼児期初期の猫への曝露で低下、ナッツ類アレルギーは、幼児期初期の室内飼いの犬への曝露で低下することが分かった。
ただし、この研究では、なぜペットを飼っている子どもで食物アレルギーの発症リスクが低下するのかは明らかにされていない。岡部氏も、「ペットを飼うことで食物アレルギーを防げるわけではない。この研究では、ペットを飼うことが食物アレルギーの発症リスク低下につながる可能性を示唆したに過ぎない」と話している。
なお、研究グループが今回の研究を実施するに至った背景には、飼っているペットのせいで子どものアレルギーリスクが高まるのではないかと心配する母親たちの声があったという。岡部氏は、「食物アレルギーの発症抑制という点では、胎児期と幼児期のペットへの曝露が有効に働くケースがあるかもしれない。このメッセージが、ペットを飼うことから生じる懸念をいくらかでも軽減するのに役立つことを願っている」と述べている。
米ミッチェル・メディカルグループ個人診療科のアレルギー専門医兼免疫学者であるDean Mitchell氏は、「この手の研究は、私からすると、一点に集中し過ぎてその他のことを見落としているように見える」と述べる。また同氏は、子どものアレルギー発症の原因となる因子として、妊娠中や幼児期の抗菌薬の使用のほか、年上のきょうだいのいる子どもでは早期から多くのウイルスに曝されるため、アレルギーを発症しにくいことも指摘している。
研究グループは、今回の研究結果は、今後の食物アレルギーに関する研究の方向性を決めるのに役立つ可能性があるとの見方を示している。岡部氏は、「ペットへの曝露により引き起こされる食物アレルギーの予防メカニズムが解明され、それが新たな食物アレルギーの予防と治療戦略に貢献することを願っている」と話している。(HealthDay News 2023年3月30日)
https://consumer.healthday.com/food-allergies-2659636430.html
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