「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。
グルテンフリーは健康によいって本当?
グルテンとは、小麦粉に含まれるグルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質がからみ合ってできた、植物性たんぱくを指します。グルタミン酸が豊富で、麩(ふ)の原料でもあります。
小麦製品を摂ると小麦に含まれるグルテンに反応して、腹痛や下痢などの心身の不調をきたす方がいます[*90]。米国では人口の約5%という報告があります[*91]。
セリアック病という小麦グルテンへの不耐症の病気の方もいますし、リーキーガット症候群という腸のバリア機能が壊れて、病原体や有害物質が体内に入り込んでしまいアレルギーや自己免疫疾患、メンタルの不調などを起こす方もいます。
ただ、これは小麦を食べるすべての人で起こるわけではありません。一律にグルテンフリーにすべきという根拠はないのです。
グルテン除去食で栄養障害になることも
除去食とはある特定の食品・食材を除去した食べ方のことです。前述のとおり、小麦グルテンに反応する人が多いわけではありません。
小麦グルテンはいろいろな食品に含まれるので、完璧なグルテンフリー食(グルテン除去食)を実践しようとして、栄養障害になってしまった子ども(大人も)が報告されているので要注意です。
とくにグルテンに反応する体質でなければ、小麦製品をすべて除去しないほうがよいでしょう。実際、昔からある小麦製品の麩は、たんぱく質が少なかった日本の食卓では、貴重なたんぱく源だったのですから。
このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。
(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)
*91 Taraghikhah N, et al. An updated overview of spectrum of gluten-related disorders: clinical and diagnostic aspects. BMC Gastroenterol. 2020; 20(1):258.