「安い」なら買わなきゃもったいない?

 実は欲しいモノすらなくてもいい。人は「安い」という理由だけで買ってしまうからだ。

 特に買う予定もないのに、なんとなく100円ショップに入り商品の棚を眺めているうち、「へえ、こんなモノが100円なら買っておくか」と手に取ることは多い。スマホのアクセサリーやデジタルグッズなど、家電量販店で買えば数倍するモノが100円~500円程度で買えるとなると、特に必要でなくても「お買い得では?」と手が伸びる。わざわざ買う必要があるかよりも、「こんなに安いなら買っておこう」という動機が優先する。

 これは100円ショップに限らない。スーパーでもディスカウントストア、ネット通販サイトでも、買い過ぎる人は同じトラップに陥りがちだ。いる・いらないより、「セールだから」「半額になったから」「割引クーポンの対象だから」との理由で購入する。「安さ」は魔力のように人を引き付ける。加えて、「今買わないと損する、次にはもう買えないかも」――そんな心のささやきまで聞こえてくる。

 もちろん、安いモノを買うのが悪ではない。ただし、必要なモノをなるべく安く買うのが賢い消費者であり、安いという理由によって使うかどうかわからないモノをちょいちょい買ってはいけない。収納の奥に「なんでこんなモノを買ったのか?」と思うものが眠っていたなら、まさにそれだ。