新入社員に手厚く、中途社員に冷たい日本企業
多くの企業では、新卒の社員には入社式やら歓迎会やらで、手厚い導入を行うものの、ことキャリアのある中途採用の社員には冷淡なのである。転職初日は、することがなく手持ち無沙汰なまま放置され、ランチ時にも誰にも声をかけてもらえず、一人でコンビニのランチを買って食べたという話はいまだにあちらこちらで聞く。Tシャツまで作らなくても良いが、せっかく仲間になるのだから、歓迎して受け入れる態勢を作ったほうがその人にとっても、周囲にいる人にとっても良い。
ただ、そうするためにはいくつか工夫がいる。
参考になるのは、心理学者ブルース・タックマンが提唱した「グループ発達段階理論」である。タックマンによれば、最初に必要なのは「形成期」という段階であり、この段階では、メンバー同士がお互いを認識し、グループ内での役割や関係を確立することが重要であるという。
形成期で求められるチームビルディングには、(1)コミュニケーションの「量」が重要、(2)まずは、お互いを知ることが大事であり、そのための機会をできるだけ多く持つことが重要、(3)そして、リーダーはメンバーにプロジェクト趣旨を説明し、役割を定めて明確な指示を出すことが重要である――という。
転職者を受け入れる場合は、既にグループがあるところに人を受け入れ、グループをさらに強く大きく再結成する状況である。したがって、管理職は、グループのメンバーに十分に働きかけ、彼・彼女が入ってくることで、グループが良い方向に変容するよう仕向けなくてはならないのだ。