最低限の施策はランチ会開催

 情報開示と明確な役割分担といったことをやるだけで、当人とメンバーの仕事のやりやすさは格段に上がり、また当人のモチベーションも高く維持される。

 しかしながら、多くの会社の多くの管理職はこのようなことをやらない。正しくは“やれない”のだ。もともと、その人に何をやってもらうか明確なイメージのないまま、なんとなくその領域の経験者が欲しいとか、人手が足りないといって採用し、配置し、業務をさせようとしているからだ(採用にかかった経費を本社人事部に支払わないといけないような管理会計制度であれば、真剣さが増し、大きく事態は変わるだろうが、そのような方法を採っている会社は少ない)。

 多くの日本企業の管理職は、なぜその人を採用したのか、その人に何をしてもらうのか、どんな役割分担で、どのように機能してもらうかについて、他のメンバーに話せない。採用した人についての明確な情報も覚えておらず、仕事の具体的な進め方のイメージも弱い。妥協を重ねた採用で、メンバーに対して、その人を採用した理由や機能の仕方を語れない場合もあるかもしれない。とはいえ、プロフィルの要点や、今後の活動のイメージくらいは語れるはずだ。

 それをやらないから、うまく組織になじめず早期に離職してしまう転職者を多数つくり出している。

 今回お伝えしたような受け入れの施策をしっかりすることをお願いしたいのだが、あまり高望みをしても仕方がないので、最低限以下のことをやってはどうかと思う。

 転職者の初出社日、無理ならできるだけ早期に、メンバーとともにちょっと長め(といっても1時間半くらいで十分)のランチ会をして、互いの関係を深めるために自己紹介をし合うアイスブレーキングの機会を持つのだ。

 飲み会のほうがいいと人もいるだろう。しかし、既に出来上がったグループの酒席に連なるのは転職者にとってはハードルが高い。転職者であろうと、既存の社員であろうと、昨今の社員はかつての昭和企業のような「飲み」ュニケーションに拒否反応を示す可能性もある。ランチくらいのほうが、それぞれの自己紹介を軽くして、よい具合に時間が過ぎて、お開きにできるのでメンバー全員にとっても負担が少ないのである。

 ともかく、ランチ会だけでも、よそよそしく遠慮し合う居心地の悪さが解消されることは請け合いである。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)