目先の節税対策投資の危うさ
牧野知弘 著
しかし考えなければならないのは、こうしたいびつな動機で不動産に対する投資を促していく現在の相続税に対する考え方は、確実に不動産マーケットを歪めていくということです。需要のないエリアでの相次ぐ供給や、膨大な負債を背景とした「出口なき」過大投資は、将来において確実にツケとなって戻ってくるでしょう。
本来であれば詳細なマーケティングを行って需要のあるエリアに需要に見合った不動産を供給していくべきものですが、目の前の相続税対策に不動産が有効であるという理由が優先され、これにローンという将来負債を負わせる荒療治が横行しています。
こうした不自然な相続対策投資が、サステナブルな環境や人間社会の実現にも全くそぐわないものとなっていることには、社会的にももっと警鐘を鳴らしていくべきだと考えます。