1合炊飯は“科学実験”、手間がかかるのが楽しい!

「峠の釜めし」容器を再利用して米1合を炊飯中。間もなく湯気が吹きこぼれるところ「峠の釜めし」容器を再利用して米1合を炊飯中。間もなく湯気が吹きこぼれるところ Photo by Wataya Miyatake
 峠の釜めし容器で炊き上がったご飯。火加減や米の状態による「炊き上がりの違い」を楽しもう峠の釜めし容器で炊き上がったご飯。火加減や米の状態による「炊き上がりの違い」を楽しもう Photo by Wataya Miyatake

「峠の釜めし」容器の土釜は底面がやや小さく、五徳(コンロ上に鍋を置くための金具)に載せられない場合もある。まずは自宅キッチンで使用可能かどうかを確認しよう。また、水分が釜の外側に付いたまま加熱すると割れやすい。火にかける際は、しっかり水気を拭き取るか、乾燥させてから使おう。

 炊飯の手順は簡単だ。米1合、水180㏄を入れて15分ほど浸水させたら、直火にかけ、加熱すること15分。火を止めたらふたを開けずに、蒸らすこと15分。計30分ほどで炊き上がる。詳細な手順は荻野屋のホームページを参照してほしい(時間はいずれも目安)。

 手順は簡単だが、炊き上がりまで火加減に気を配る必要がある。釜の中から聞こえる「コポコポ…」という音で水分の量を推察し、途中で火を弱めたり、逆に強くしたり。筆者のように峠の釜めし容器で炊飯を行う愛好家は、この作業を「ひと手間」として大いに楽しんでいる。炊飯作業を、米に「デンプンの糊化」(加熱で粘り気やふっくらとした食感が出る)を与える“科学実験”のように捉えると、火加減や米の状態による炊き上がりの違いがわかる。

 やや手間のかかる炊飯作業だが、ご飯へのアレンジを簡単に行えるのが魅力だ。例えば火を止める前に2~3分ほど火を強めて「おこげ」を作ってみたり、その際に土釜と米の隙間からごま油を入れ、底をカリッとさせてみたり。他にも炊き込みご飯や茶飯などのアレンジが可能。愛好家の中には、鶏肉やごぼうなどの煮物をあらかじめ作り、炊き上がったご飯に盛り付け、自宅で峠の釜めしを作ってしまう猛者もいるのだとか。