オニオングラタンスープやアクアパッツァに最適

 峠の釜めし容器は炊飯だけでなく、ちょっとした料理にも使える。この容器はじっくり熱が伝わる上に保温性にも優れており、オニオングラタンスープやアクアパッツァを作るのに最適だ。材料を入れて加熱するだけの手軽さもいい(詳細なレシピはいずれも荻野屋ホームページに掲載)。

 旬の食材の楽しむなら、今なら春キャベツや新玉ねぎを適当に切って、他に好きな具を入れ、少量の水と一緒に炊くだけで、絶品の一人鍋に仕上がる。こういった料理は別に普通の一人鍋でもできるが、益子焼の峠の釜めし容器を使うと、妙に高級感が出てくるから不思議だ。

 土釜ならではの「ゆっくり熱が伝わる」「程よい通気性」という利点は、パンやケーキ作りにも向いている。ただ、土釜の内側は少しざらつきがあり、パン生地がこびりつく場合もある。クッキングシートを敷くか、バターを塗るなどの対策を取った方がいいだろう。

筆者自作のオニオングラタンスープ。玉ねぎ2.5個分使用筆者自作のオニオングラタンスープ。玉ねぎ2.5個分使用 Photo by Wataya Miyatake
筆者自作のカンパーニュ風チーズパン筆者自作のカンパーニュ風チーズパン Photo by Wataya Miyatake

 再利用時の注意点がある。この容器は底が薄めにできており、何度も使用するとひび割れてしまう。峠の釜めし製造元の荻野屋に話を聞くと、長持ちのコツはやはり、「使用前に外側の水気を拭き取るか、しっかり乾燥させること」。そして普通の土釜と同じように、米のとぎ汁を入れ沸騰させ陶器の目地をふさぐ「目止め」をするのも、一定の効果があるそうだ。

峠の釜めし容器は、底の薄い部分から割れやすくなっていく。左から2回、5回、9回加熱したもの峠の釜めし容器は、底の薄い部分から割れやすくなっていく。左から2回、5回、9回加熱したもの Photo by Wataya Miyatake

 それでも、繰り返し火にかけるともろくなり、ひび割れるときは来る。そんなときこそ、横川駅や上信越自動車道のサービスエリア、中央自動車道・諏訪インター近くのドライブイン店などに峠の釜めしを買いに走ろう。なお、地方に行かずとも東京都内で購入できる店も増えている(銀座、八幡山、日本橋、神田、あるいは東京駅構内や駅弁大会などイベント)。ちなみに筆者は、年に3~4個は買い足すようにしている。