中学に入学後、最初は良かった成績がどんどん下がっていった息子さん。不良グループとつき合うようになり、学校帰りの寄り道や、喫煙で学校に呼び出されるようなことが、しだいに増えてきました。

 さんざん咎めるSさんに、ある日息子さんは言いました。

「もうどうなってもいい!」
「僕なんか死んだほうがいいんだ!」
「こんな家に生まれてこなければよかった!」

 以来Sさんは、息子さんのそんな言葉をもう一度聞くのが怖くて、学校のことも、部活のことも、いっさい話題にできなくなってしまったそうです。

 すっかりふさぎ込んでいるSさんに、私ははっきりと申し上げました。

「息子さんの言葉は、すべて嘘です。気にしないでください。お子さんの言葉の裏にある、本当の心に気づいてください」と。

 息子さんの本当の心の声。

 それは「助けて!」「さみしいよ」「もっと愛してよ」です。

どうして反抗するのか?

 思春期というのは、子どもの心が不安定になる時期です。思春期でなくても、学校へ行けなくなっている子どもの気持ちは常に揺れ動いているものです。

 そこへ親が少しでも注意したり、怒ったような声を出したりすると、大きな声でわめいてみたり、返事をせずに自室にこもってしまったり……。

 そんなお子さんの反抗的な態度に悩み、どうしたらいいのかわからなくなっている親御さんは多いことでしょう。

 大人だって人間です。子どもが反抗的な口のきき方をしたり、無視したり、ましてや暴力をふるってきたりしたら、頭にきますよね。でも、そこで冷静に考えてみることが大切です。

 お子さんは、なぜ反抗するのでしょう。