とはいえ、ローンの元本の減り方と物件価格の下がり方を比べたときに、元本の方が早く減っている状況であれば、いつでも売却できるのは事実だ。その売却資金で住宅ローンを完済できれば、結果的に損をしていないことになる。これが“健全”な考え方であろう。
現在は超低金利が続いており、ローンの元本は年間2.7%程度のペースで減少している。
地方でマンションが増えているものの、これより物件価格の下落率が低いエリアで物件を購入してしまうと、資産性が伴っていないことになる。
マンションを買うと損をしやすい
危険なエリアとは…?
そこで筆者は今回、マンション価格の年間下落率を首都圏(1都3県)・近畿圏(2府4県)を除く全国で算出してみた。
その結果、47都道府県中20の県で「資産性不足」となった。
ワースト1位は山梨県で-3.83%。2位は三重県で-3.396%、3位は茨城県が僅差で-3.401%となった。
つまり、ローンの返済をしていても、それ以上に資産が目減りしているので、売却してもローンを完済できない。常に含み損を抱えていることになるので購入を推奨できないエリアになる。
また筆者は、マンションを買ってはいけないエリアを、都道府県から市区単位に細分化して調べてみた。
すると、市区単位で年5%以上下がる代表例は、新潟県湯沢町や静岡県伊豆市だった。前者はスキー場と温泉、後者は温泉と自然環境が有名だ。
こうしたリゾートエリアで建つマンションは自宅利用ではなく、セカンドハウスか別荘的な利用に限られる。購入者がリゾートに来たときの拠点になり得るが、生活する上で必要不可欠な物件ではない。
こうした物件は、相場価格が下がり始めても買い手が付かず、下落幅が大きくなる。築古になると、1戸数十万という二束三文で売られる場合もあるが、管理費や修繕積立金が重くのしかかる。
同じマンションの他住戸の滞納も多くなり、エントランスなどの共用部を補修できず、居住性すら維持できなくなる可能性もある。だから、こうした地域ではマンションを買ってはいけないのだ。